昨日、土曜日だったのだが2時間ほど仕事に出た。
そして、書類ゴミを片付けるために夕方に再び事務所へ向かった。
雑務を終え、自宅に戻ろうとすると、仕事中だった夫から着信あり。
「今事務所だろう?一人で来るなって言ったろ?わしがもう少しでこっちの作業を終えるから、事務所の出入り口の所で待っとけ。家まで送るから」
と、忙しそうに言って電話が切れた。
「ありがとう」を伝えきらないうちに。
出入口で夫が来るのを待つ。
今日は生憎の雨模様だが、昨日はよく晴れていた。
よく晴れ、暑さすら感じる昨日の夕方。日が落ちていくことを告げる空の色。
そして数メートル先に咲くハナミズキの薄桃色。
目の前のバイパスを車が行き交い、袖を生温い風が通り抜ける。
いつもより暑い春を感じる。
夫を待っている間、気分が良かった。
少しドキドキしていた。
生温い風に持って行かれる髪の毛を手直しして、夫を待つ。
「ハル」
来た。
「ありがとう、忙しかったんじゃない?」
「ちょうど一段落したからな。こっちもそろそろ終わりにしないとな!」
かっこいい・・・
汚れた作業着の夫が、いつになくかっこよく見えるのは、たそがれどきの空色も手伝っているからなのか。
汚れた作業着の夫が、こちらに向ける目線にいつになく恥ずかしく思うのは、昨日抱かれた余韻なのか。
それとも、夫だけではなく、あそこに咲き乱れるハナミズキも私たちを見ているからなのか。
「ありがとう。ヒロシさん」
お礼はちゃんと伝えないと。
そして私は夫の左腕に腕をまわし、家までの道を歩いた。
ほんの数分の距離。
ほんの数分のこの距離と時間に、玉響の幸せを感じながら。
ハナミズキにも、ありがとうと思うひととき。