お花を買いに出るのは躊躇われたので、
自宅の庭に咲く八重桜の小枝を2本ほど剪定した。
今日は16時には仕事を終え、義父のお墓へ参ってきたのだ。
なんとなく脳裏に義父の顔が浮かんだからだ。
とはいえ、スーパーに花を買いに行くような状況ではない。
だから自宅に咲く八重桜の枝を軽く2つ切ったのだ。
これ。
そして、キッチンぺーパーを濡らし湿らせ、切り口に当ててその上からラップで包み輪ゴムをする。
「ママどこ行くの?」
「パパのお父さんのお墓だよ。」
「サラも行く」
「エマも行く」
「ううん、ママ一人で行って来るからお留守番してて」
墓参りセットを片手に、一人で義父のお墓へ向かった。
とある団地の入り口を、入口とは反対の方向の山手へ上がると墓苑がある。
夕方の時間ではあるし、こんな状況だからなのか、私一人だった。
本来は、逢魔が時に墓に参ることなどしないほうがいいのだろうが、どうしても義父に伝えたかった。
「お義父さん、どうかお義母さんとヒロシさんを守ってください。お願いします。」
窮地に陥ると私は今までも義父に手を合わせてきた。
まだ夫婦がセックスレスの頃にヒロシと喧嘩をして、ヒロシは怒りをぶちまけて私に家を出て行けと叫んだ。
ものすごい形相で叫んで、結局夫が家を出て行った。
今、この家に夫のベッドが無いのは、何を隠そうその喧嘩が原因だった。
火事場の馬鹿力で、なんと夫はマットレスを抱えて事務所の上階のヒロシの城まで運んだのだ。
その時も、私は冷静ではあったが今後の身の振り方が分からずに深夜に、将来仏壇をおく場所になっている仏間に正座をし、
義父にブツブツと伝えたいことを言った。
命がけの離婚届① 命がけの離婚届② この時にも、義父に手を合わせていた。
というかこの時の私のブログ、レス真っ只中で、ヒロシのことが大嫌いで、素直になれなくて・・・
私の暴言の吐き方がすごいwww
別人みたい・w・;
話を戻して。
お墓で夫と義母の無事を祈った。依頼してきた。
消えてしまえばいいのにって思っていた私が、どうかヒロシを長生きさせてくれと、亡き義父に懇願しているのだ。
きっとあの世で義父も私の変わりように目を丸くしておられることだろう。
お義父様。
世の中がこんな風になってしまいました。
何をどう気付けと言うことなんでしょうか。
近距離で、感染者の大量発生が起きました。
どうか・・・どうかどうか・・・
そんなことを思っていると、もう止めどなく涙が流れて止まらなかった。
いいや。誰も見ていないし誰もいないから都合がいい。
三度の飯よりお菓子が大好きだったお義父様。
今日もお墓に小袋に入った甘納豆を2個置いてきた。
散々涙を流して、どこかスッキリした私は、手洗い場で手を洗い、マスクを整えて車で自宅に戻った。
お会いしたかったな。
本当にお会いしたかった。
自宅の玄関に、手洗い場を新設すると言って聞かないヒロシだが、
大事な部分での注意力が散漫なのだ。
だから、いつも人に「気をつけろ」と言いながら真っ先に自分が転ぶタイプなのだ。
だから心配で心配で。
もう少し長く一緒にいたいのです。
墓苑を吹き抜けていく風が、悪戯に辺りの草木を揺らし、
私が供えた八重桜の小枝の花が、義父のお墓で
大丈夫、大丈夫、とそう言ってくれているかのように、前後に揺れていた。
