私の親友、美晴。

 

学生時代にはそれなりに恋をしながらアルバイトをして一緒に遊んだ。

 

美晴が彼にフラれたとき、

 

落ち込んでいるのがわかったのでドライブに連れ出した。

 

終始無言の美晴。

 

いや、私たちにはその場の空気を繋いでおくためだけの会話なんて要らないのだ。

 

その空気感だけで、

 

美晴の心が「寂しい」と言っているのはわかるから。

 

夜景の綺麗な場所に着くと美晴が言う。

 

「ここもケイさんと来たよなぁ~」

 

以後、何年か後に美晴には彼氏ができ、その人が今のご主人になるのだ。

 

そのご主人はとても人当たりのいい人で、ヲタク気質なご当地テレビ局に勤める方だ。

 

何年前になるだろうか・・・

 

10年前ぐらいだっただろうか。

 

私は母子家庭をしながら掛け持つ仕事探しをしていた頃だったと記憶している。

 

うだるような暑い夏の頃だった。

 

美晴の旦那さんの夢を見た。

 

美晴の旦那さんには弟さんがいる。

 

お隣の県にご結婚して住んでおり、たまに美晴の家に遊びに来ていた。

 

その時にちょうど一度だけお会いしたことがある。

 

気の弱そうな奥様と、ごくごく普通のパパという感じのご夫婦だった。

 

が。

 

私がいる前で夫婦喧嘩でも始まったのか、二人の雰囲気はどことなくギクシャクしていた。

 

そんな程度の記憶しかない。

 

そんな程度の記憶しかない美晴の旦那様の弟さんの夢を見た。

 

夢の中で薄汚れた軽自動車で山道を運転しており、

 

何かを固く決意した顔。

 

当日の午前中に何気なく美晴に連絡をして、その夢の内容を伝えた。

 

すると、

 

全てを伝える前に美晴が

 

「え!今弟さん連絡がつかなくて行方不明なのよ!」

 

と言うのだ。

 

「え?どういうこと?」

 

と聞くとこうだ。

 

以前から夫婦関係が上手くいっておらず、奥さんからDVを受けていたという。

 

耐えきれなくなった弟さんは家を出たきり家に戻らないのだという。

 

仕事にも出ていないという。

 

でも、音信不通になってまだたったの1日だというのだ。

 

「山道・・・ねぇ、壊れそうな軽に乗ってない?」

 

聞くと美晴はご主人に確認するという。

 

確かに軽自動車ではあるが、壊れそうかどうかまでは知らないという。

 

まぁ・・・それはそうか。

 

「美晴、ちょっと探しに行こう!」

 

「えぇっ?どこに?」

 

「山道」

 

「や、やまみち?」

 

「うん!多分あれあそこ辺りだと思うのよ」

 

見覚えがあった。

 

夢に出てきた道には見覚えがあった。

 

私が昔お付き合いしていた彼氏行った、渓谷までの通り道のような気がした。

 

目を奪われるようなあの綺麗な景色はそうに違いない。

 

自分の夢を過信しているわけではない。

 

だけど家でじっとしていられない。

 

そして私は当時のエマを保育園に預けたまま、美晴も同じく子供は幼稚園に預けて二人だけで探しに行った。

 

お隣の県境辺りまで車を走らせた。

 

いよいよ隣県に入る。