20歳の初秋
私は交通事故に遭っている。
普通自動車に撥ねられ、私は15mほど宙を舞ったらしい。(目撃者談)
当然のことながら私はそんなこと覚えてはいない。
よく聞くやつだ。
“気付いたら病院のベッドの上だった”
まさにそうなのだ。
そして、私はその交通事故で丸3日間、昏睡状態だった。
ただ私の場合は、大きな音などで体の一部が反応することがあったと聞いており、俗に言う昏睡状態とはまた微妙に違ったのかもしれない。
詳しいことは医師も分からないと言ったらしいので私も分からない。
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某日、私は横断歩道を歩いて渡っているときに男子大学生が運転する普通乗用車に撥ねられた。
体は15mほど跳ね飛ばされ、歩道と車道を区切る部分にあった植樹帯に投げられた。
車の多い通りであったことから、目撃者も多数いたらしい。
目撃者は悲鳴をあげ、
倒れた私を見た年配の男性は大きな声で
「ありゃぁもうダメだろぉ~」
と叫んだらしい。失敬な!
い、き、て、ま、す、よっ(`・ᴗ・´)
そのおかげですぐに救急車に乗せられ病院へ搬送された。
私を轢いた大学生は居眠り運転をしていたという。まったく・・・・。
救急車に乗せられた私は、外傷がないか確認するために洋服にハサミを入れようとした救急隊員に
「服は切らないでください」
とだけ言って意識を無くしたらしい。
今でこそ家族の中で笑い話になっている。
万が一、それが最期の言葉だったとしたらあまりにも無意味過ぎるだろうと父親に言われたw
確かにその通りだ。
腕と足と背中に外傷があったが、縫合した部分は足しかなかった。
頭部も打っていたと聞いている。
打ってしまった頭部が決定打になったのか、私は目を覚まさなかったという。
両親は血相を変えて病院に来て、まるでドラマのワンシーンかのように私の名前を大きな声で何度も呼んだと聞いている。
内臓の損傷はなく、奇跡だと言われているにも関わらず、昏睡になっていた。
その間の私はというと・・・
意識の中でしっかりと生きていた。
私は暗いくらいトンネルのような、真っ暗な部屋の中のような、光一つない場所にいた。
「ここどこなんだろう、真っ暗で何も見えない」
などと独り言を言い、
とにかく出口を求めて彷徨っているのだ。
途方に暮れそうになったときに、先の方から一筋の光が見えた。
あった!出口があった!よかった・・・
早く帰らないと!
そう思って光の指す方へひたすらに歩いた。
そして私は、まるでトンネルの出口から出た時のような感覚で光の元へ出ることが出来た。