不妊治療を受ける決心をしたという彩ちゃんと彼女の旦那様がうちへ来た。

 

ほんの30分だけ、うちでお茶を飲んでもらい、

 

彼女たちはすぐに目的の場所へ向かって行った。

 

あの時に会った彩ちゃんとは別人のようだ。

 

背中にず~んと何かを背負ったような雰囲気はもう感じない。

 

初めて会うご主人は彩ちゃんよりも3つ年上だという。44歳だ。まだお若い。

 

中肉中背の、爽やかな印象を受ける方。

 

身に着けているものから、おしゃれに拘りを持っている方なのだろうなと察する。

 

とても緊張した面持ちで

 

「はじめまして」

 

と仰る。

 

私もご主人の緊張がうつり、

 

「はじめまして、ハルと言います。」

 

と緊張気味に挨拶をした。

 

「先日は、急に彩ちゃんを呼び出して・・・すいませんでした。」

 

「いえいえ、その件なんですが・・・僕もですね、本人から初めて本人の思いを聞いてですね・・・ちょっとこう・・・驚いているというか・・・

ほんとに・・・どうしたらいいものかと思ったんですが、本人がとにかくハルさんに会って欲しいと言うもので無理言ってこんな正月の真っ只中にお邪魔するようなことになってほんとに申し訳ありません。」

 

と、ご主人は丁寧にこんな私に何度も頭を下げてきた。

 

「いえいえいえいえ、そんな。私が会いたくて会いに行ったのに。ほんとにありがとうございます。」

 

「こちらこそありがとうございます。なんか・・病院まで教えてもらって・・・。正月休みが終わったら行く予定にしました。」

 

と。

 

嬉しい。

 

彼女に赤ちゃんが出来るかもしれないという喜びというよりは、

 

彼女とご主人の間に、歪がない気がして嬉しかった。

 

相変わらず吹けば倒れそうな彩ちゃんではあるが、それをしっかりと支えてくれるご主人がいるのだなと安心した。

 

「こんな素敵なお家に住んでるんだね。ハルちゃん、すごい。」

 

彩ちゃんはそんな風に言ってくれるが、決してお掃除や整理整頓が得意なわけではない・・・w

 

コーヒーが苦手だという彩ちゃんには梅昆布茶を出し、ご主人にはコーヒーをお出しする。

 

他愛もない話に花を咲かせていると、

 

長女と二女が

 

「明けましておめでとうございます」

 

と二階から降りて来た。

 

初対面となる。

 

彩ちゃんのご主人からお年玉を頂いた。

 

気を遣わせてしまい、申し訳ないなと思ったが、有難く頂戴して、こちらからは、

 

頂き物ではあるが、我が家では消費しきれないオリーブオイルと、わさびのふりかけなどを

 

袋に詰めてお渡しした。

 

彩ちゃんはうちの長女と二女と落ち着いた口調で話をしている。

 

長女と二女も、楽しそうに話をしているのである。

 

よかった・・・

 

すると

 

「あぁやっぱりいいね。」

 

と彩ちゃんが言う。

 

子供が好きなんだなと感じた。

 

そして、ご主人に子供を抱かせてあげたいと思っているのだなと思った。

 

二女がご主人の膝にストンと座り、

 

「おとしだま、ありがとう!今からどこ行くの?また遊びに来てくれる?」

 

と聞いている。ww

 

おいww

 

なれなれしすぎるだろww

 

と思いながらも、ご主人が嬉しそうな表情をしているのを見て、少し安心した。

 

少しすると、二女はぐずぐず言い出した。

 

昨夜、帰宅が遅くなり、眠りが足りないのだろう。

 

ご主人のそばでぐずぐずぐずぐず言い出した;;

 

まったく・・・w

 

するとご主人は

 

「眠たいんだよね」

 

と優しく二女の背中をトントンとしてくれている。

 

随分手慣れているな・・・

 

と思いながら見ていると、

 

「姪と甥がいるので」

 

と微笑んでいる。

 

そうか・・・

 

束の間だったが、楽しんでもらえたようで何よりだった。

 

友人家族がよりよい一年を迎えられますように。

 

車を見送りながらそう思った。