昨夜夫は夜仕事に出ていた。
私が、さぁ寝ようかというタイミングで夫からメールを受信。
“あと20分もしたら帰る”
待っておいてとも書いてない、エッチをしようとも書いていない。
今まで夫は「帰るよ」の連絡を私に寄越したことはない。
それが今ではちゃんとこうして「帰るよ」と連絡をくれるようになっている。
布団の中で思わずふふっと笑顔になる。スマホのライトが天井をぼんやり照らしている。
少しして夫が帰宅した。
シャワーを浴びて私の隣の布団に入ってくる。
私たちはそもそも一緒の部屋で寝てなんていなかった。
というか、ここ2年ほどは、夫は事務所側の建物の独身寮とは名ばかりの自分の城で寝ていた。
まぁ・・・夫が仕事を効率的にするために事務所側の建物で寝泊まりする方がいいということは、私も熟知している。
本当によく働く夫だ。
働き者だ。
「おかえりなさい。お疲れ様(*´ー`*)」
「Σ(・ω・ノ)ノ!起きてたのか・・・!」
「wwそんなにびっくりしなくても!w」
「www」
「ねぇヒロシさん。テラスに出てみない?」
「は?なんでぇ?寒いぞ?外。風呂上がりだし、俺風邪ひくぞw」
「大丈夫。私が温めてあげる。」
一階ではあるが、リビングの大きなガラス窓を開けると、テラス続きになっている。
そのテラスには、いつかカフェにように木製の机と椅子が置けたらいいねと話している。
今はまっさらで何も置いていない。
テラスに移動して、私は夫にぴったりとくっついて空を見上げた。
2019年12月30日(月)の夜空を。
「曇ってるね・・・」
「あぁ。少し前までは小雨が降ってたよ」
「そっか・・・」
少し奥の道路に建つ街路灯のオレンジがテラスを優しくオレンジに染める。
見上げた空には雲がかかっていてどんよりしている。
「星、見えないね」
「星が見たかったのか?」
「うん。」
「まぁ、晴れてからでいいじゃないか。」
寒いのか、早く室内に戻りたそうな夫は、特に夜空には興味もなさそうにそう言う。
「一緒に見たかったよ。今日見たかった」
「しょうがないよ曇ってるしな」
「うん」
室内に戻った。
「星空よりもハルの方が綺麗」
そう言って夫がキスをしてくれた。
こんな歯の浮くようなセリフを言うような夫ではなかった。
「今日、したい。あっちでして?」
布団の方を指さして私からお願いした。
夫は少し驚いていたようにも思えたが、「こういうハルも好きだよ」と言ってくれた。
何をしても私を受け止めてくれる夫の事を、私も愛している。
布団の中で、優しく優しくお互いに触れあっている。
世間では年末で帰省をしている時期でもある。
私たちはお互いの実家が近いので帰省がない。
だからこうして・・・・
年末もこうして体を重ね合える。
私の中で、夫への感謝の気持ちと、今まで散々バカにしてきたことに対する反省と、色々な気持ちが溢れている。
「ごめんね」
「?何が?」
急に私が謝るので、夫は動きをピタリと止めた。
「今まで素直じゃなくてごめんね」
そういうと夫は優しく笑った。
「ハルはずっと天邪鬼だったもんな。でも、ワシも悪かったよ」
そう言って私の長い髪の毛を触りながら頭を撫でてくれている。
そしてまた、お互いに触れあって、身体を重ねた。
私に上乗りになっている夫は重たく、厚みがある。
潰れそうなその重みさえも、愛おしいと思う。
手には洗っても取れていない汚れがついている。
よく働く手をしている。
その手を見て、私は夫の手をぎゅっと握ってキスをした。
「いつもありがとう」
別に激しく動いているわけでもないのに、夫は「もういきそうだ」という。
ね。
こんな風にした方がずっと気持ちがいい。
私も同じように、もうダメだと思った。
二人で頂点を迎え、夫は快楽を私の腹部に放出した。
私は夫の腕の中で、波打つ身体を鎮めた。
私はいつも夫の大きな愛に包まれていた。
だから何度危険な目に遭っても大難が小難で済んできたのだ。
今までそれに全く気付けずにいた。
ありがとう。ヒロシ。
夫に言われた。
「俺はもうちょっと肉感的な方が好きだぞ。もっと飯を食いなさい」
嬉しかった。
努力して保っておいた体型だったが、好きな甘いものを控えていたので、
もっとケーキ食べていいのだと思うと、嬉しかったw
明日も明後日も、夫に抱いてもらいたい、そんな風に思う私はどうにかしている。
41でこんな風になるなんて。
そして夫は57だ。
遅咲きである。
遅く咲く花ほど、美しい・・・
そんな風に在りたいと思う。