夫はいつも通り帰宅してきた。

 

「ただいま~」

 

今日、ご近所のおばさまが突然、

 

「あなたのご主人、お家に帰るとき、ものすごい幸せそうな顔して帰ってるね~!嬉しいんでしょうねぇ、こんなに可愛い奥さんがお家でごはん作って待っててくれるから!」

 

と言ってきた。

 

悪い気はしなかった。

 

むしろ、自宅に帰るのが嬉しいと思ってくれているのだとしたら、それはそれで嬉しい。

 

どこまでも気が利かなくて、女心の「お」の字も理解できないような夫だが・・・。

 

そして今夜のごはんを美味しそうに平らげて、事務所へ戻って行った。

 

「今夜は誘わないよ。まだダメだろ?」

 

と言う。

 

うん、と頷いた。

 

今日、友人たちに、

 

「それでもはるは愛されてるよ。毎年誕生日に胡蝶蘭を送ってくれる旦那さんっている?いないって!」

 

と、言われたのだ。

 

あくまでも夫を立てつつ、変わってくれたらいいよねという点を話してくれる。

 

どこまでも有難い友達だなと思った。

 

そんな友たちのおかげで私はすっかりと心が軽くなっている。

 

今日が青空じゃなかったら、ほんの少しのモヤモヤを抱えたままだったかもしれない。

 

だが実際のところ、今日はこんなにも素晴らしい。

 

あっけらかんとしたお天気だったのだ。

 

色々な話を終え、友人を玄関から見送る。

 

ときが輝くように、明るい空の、平凡な水曜日の午後の陽射しを浴びて、

 

友人と「またね」と交わした。