私は一体この家族でどういう立ち位置なんだろうと涙が出る。
防犯カメラに写っていた男性は私と一緒に仕事をしていた男性だった。
ところが彼の名前すら思い出せないのだ。
それはいいとして、こんな不安でたまらない日に、夫はビールを飲んで面倒臭くなっていた。
私が何かを夫に頼むと、夫は口癖のように先ず舌打ちをした後に
「めんどくせ!」
という。
その「面倒くさい」という言葉に夫は、特に深い意味を乗せず、
その場の感覚だけで発しているのだろう。だから明日にはもう覚えてもいないのだろう。
私がお願いしていた、【駐輪スペースにセンサーライトを付ける】という作業は夫が面倒だというので、
ずっと進まずじまいだった。
挙句、「おふくろなら自分でやるぞ、そのぐらい」と言う。
ところがだ。
ある日夫が自転車に乗ってすぐそこの店まで軍手を買いに行くというときのこと。
鍵を自転車に差し込まなければいけないのに、手元が真っ暗で見えないと言う。
「これはセンサーライトがいるなぁ」
とほざいている。
だから言った。だから私は何年も前にお願いしてたんだ。
私がお願いしてから2年後ぐらいに、夫は駐輪スペースにセンサーライトを取り付けた。
夫が自宅をいじる時に重い腰を上げる理由は、【自分が不便だから】である。
いつもそうだ。
この度、私の身にもしかしたら危害が加えられかねない事態になっている。
警察とのやりとりは、なるべくここには書かないようにしている。
身内に警察官がいるので、
やり取りの中で少し誤解を招きかねないことや、話の流れ上、読者の皆様に不信感を与えかねないからだ。
それでも、細心の注意を払うように言われている。
もう犯人の身元は判明した。
名前すら憶えていなかったその元同じ職場の男性の名前も、同期にメールをしてみて判明した。
ただ・・・
その人は、私が原因で精神を病んだと言っているらしい。
私はそれは嘘だと思っている。
防犯カメラに写っていた彼の顔は、目は、しっかりとした意思を持っている。
ぎらついたその目で、家の裏側へも行き、物色しているのだ。
一緒に仕事をしていた時の記憶が徐々に蘇って来る。
自分に不都合なことがあるとすぐに嘘をつく人だった。
そう、そういえばその人のせいで私がお客様に謝罪に出向いたこともあったな。
あのとき、私はその人に言った。上司だったが、あまりの理不尽さに
「これで良かったんですか」
とだけ言ったのだ。
すると、今まで見たこともないような目で私を見てきた。
防犯カメラに写っていた時と同じような目だった。
あの人、そういえば私によくジョークでアプローチしてきていた。
あれ・・・冗談じゃなかったのか・・・。
怖い。
心が折れそうだ。
***
今夜、私は色々としんどくてとてもエッチなんて出来る気分じゃないと言った。
それとセンサーライトの一件を思い出し、
ビールを飲んで呑気に楽しそうにしている夫を見て、
「いつも自分本位だよね」
と私が言ったことに腹を立てて事務所へ帰って行った。
蛍光の黄緑色の上着を来て、黒のニット帽をかぶって、小太りの57歳の夫がお腹を突き出しながら偉そうに歩く姿を見て、
なんだかとても汚い人間に見えてしまった。
こんな夜に我が家は女3人なのだ。
弟にメールをすると、ひどく心配してくれている。
こういう時の弟は立派な男である。
家に来てくれると言うが、そこは遠慮した。
弟が来たことを知ったら、夫は拗ねるだろう。
喧嘩になるような要素は排除したい。
こんな夜にこそ、
ただ傍にいてくれるだけでいいのに
なぜそこにセックスが必要なのか・・・。
涙が出る。