私たちが寝泊りする部屋は、絵画が飾られてあり、
テレビが付いていてベッドサイドが前面のガラスになっており、そのベッドもクイーンサイズだった。
トイレも冷蔵庫も電話もついていた。
え・・・もうここで暮らせちゃうんじゃない?とつっこめるほどのものだった。
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彼は部屋に着くなりドアを開け私を部屋の中へと促す。
とにかく履きなれないハイヒールの靴をすぐに脱いだ。
足が痛い・・・
目の前にあったソファに腰かけて、
I have sore feet!
と言いながらぐったりとした。それを見て彼は笑った。
ハリーがシャワーを浴びているときに、びっくりさせようと思い、
シャワー室に入った。
シャワー室で彼に抱かれ、ベッドでも体を重ね、
それは優雅なひとときを過ごした。
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こんな経験をさせてもらっておいて、
わたしは最初に結婚した相手に2年足らずで先立たれ、
平凡な生活と平凡な幸せの何と難しいことかと心底落ち込んだ。
いっそのこと、私も・・・と一瞬そんなことも頭をよぎったこともあった。
しかし現実には、私の腕の中で乳飲み子がお腹が空いたと泣いている。
それを思ったあの日から、私の中から今は亡き夫の傍に私も・・・と思ったことはない。
ほんとに一度もない。
我ながらあっさりとしたものだと驚いている。
過去の優美な経験が無駄だとは思わない。
思わないが、普通の母親・普通の主婦として生きて行くにはあまりにもふり幅が大きい経験だった。
何も知らなければ、苦しまないでいいこともあった。
知っているから、乗り越えられたこともあった。
そもそも私はそのような豪華な場所に相応しい女性ではない。
ヴェネチアンマスクよりも、子供たちにお願いされて装着する節分の鬼のお面の方が得意だ。
どこのママ鬼よりもリアル鬼を演じ切れていると思っている。
今も、デスクトップPCの前にいる私を、お風呂の中から呼ぶ夫の声がする。
不器用で面倒くさいヒロシでも、
逆に楽だなと思わせてくれるシーンはたくさんある。
さて、
今夜は既に薬を飲んで風邪対策と耳カビ対策はバッチリである。
キッチンも片付いた。
いつもの日常。
これが私の幸せ。