普段から夫に対して、この人ほんっとに世間知らずだなぁと思うことが多い。
家業の知識しかない。
でもそれは環境がそうしたのだから仕方がない。
かくいう私も若かりし頃の世間知らず具合で友人の間での武勇伝になった出来事が一つある。
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その日は友人の結婚式だった。
季節は5月で良く晴れた気持ちいい日だった。グレイッシュピンクのワンピースを着こんで、上着を羽織っていた。
髪の毛は美容院に行き、よそ行き風になっていた。
私が運転する車で、まず美晴を拾い、それから涼子という友達を拾って式場に行く予定にしていた。
ところが、とある道で赤信号で停車していると、黒塗りの車が私の車にぶつかってきた。
後ろをやられた。
衝撃としては大したものではなかったが、ぶつかったということは互いに当然認識出来るものだった。
あ゛・・・ぶつけたなぁ~?
赤信号だったので私は車から降りて、黒塗りの車の横まで行き、
「あの~」と伺いをたてた。車内から人が出てくる気配はない。
すると青信号になり、車は出発した。
これはまずいと思い、私も車に戻り、黒塗りの車を追いかけた。
結婚式のことはすっかり忘れ、ちゃんと警察に言わないといけないという父から教わったことを実践せねばと思っていたからだ。
やっとのことで黒塗りの車が停車した場所は、倉庫のある港だった。
あら・・・こんな処まで来ちゃった・・・
とは思ったが、
とりあえず車から降りて黒塗り車の横に行き、
あの~・・・さっき〇〇の信号のところで私の車にぶつけましたよね?・w・;
と言うと、黒塗りの車の中から一人、スキンヘッドにサングラスをしたイカツいおじさんが出てきた。
あまりセンスの良くないスーツだなと思った。
すると、
お姉ちゃんこんな場所まで付いてきて危ないよ、車?あぁ~、これで直してもらって!
それとな、こういう黒い車は追いかけて付いてくるもんじゃないよ、ホラ。
そこに投げ棄てられるぞ。そんな綺麗なかっこうして。
と言い、私に5万渡してきた。
あ・・・あの、これ受取れません。警察呼ばなきゃ・・・。えっと・・・
バッグからスマホを出そうとすると
お姉ちゃん、わしらに回されて海のゴミになりたい?
そうなりたくないなら、それ持って帰りなさい。用事があるんだろう?
という。
!!用事!!
結婚式!!
美晴拾わなきゃ!!!ヤバイヤバイ!連絡しなきゃ!
バッグから携帯を探り出している最中に、黒塗りの車はものすごい速さで消えて行った。
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「はぁ~?あんたバカじゃないの?下手したらそれ殺されてたよ!しかも黒塗りの車を追いかけるとか・・・」
美晴と涼子から式が始まってもずっと怒られていた・・・(;´・ω・)
今思うとほんとになんということをしたのかと、ひやひやする。
それ以後の対応は、親の真っ当なアドバイスを聞きながら、とり行った。
世間知らずとはいかに怖いことよ・・・
自分のことだが、思い出すだけで青ざめる・・・