再婚して少し経ったときに、

 

「結婚指輪どうする?」

 

と聞かれたので、

 

「あ~・・・私普段から指輪を着ける習慣がないし、いいよ、要らない」

 

と言うと、

 

「あったほうがいいんじゃない?」

 

と言う。

 

なら「買いに行こうよ」って言えよ・・・。

 

夫は、とある宝飾店に私を連れて行った。

 

着いた先は、夫の知人が営む宝飾店。義母とのつながりもあるようだ。

 

歴代の彼氏はティファニーだの、カルティエだの連れて行ってくれたから、なかなか新鮮!

 

狭い店内のショーケースには品揃え少なく宝飾品が置いてある。

 

お世辞にも綺麗とは言えないショーケースだったけど、個人経営ともなるとこんなものなのか?と思いながら椅子に腰かけた。

 

夫は私の方に手を向け、「結婚したんですよ、これ、妻のハルです。」と言う。

 

立ち上がってお辞儀をして「どうも、はじめまして。ハルと言います。」とあいさつを済ませ、早速指輪選びに入った。

 

種類が少ないし、可愛いなぁと思うものも特になかったが、

 

夫は買う気満々なので、もう夫さえ納得すればいいや、と思い、夫に選んでもらおうと思った。

 

が!

 

夫が選んだのは結婚指輪でそれはどうなのか?と思うようなデザインの物だったので、

 

その隣に置いてあった内側がピンクゴールドになっていて、外側はプラチナになっているものを提案した。

 

シンプルがいい。ごちゃごちゃしているものは嫌いだ。

 

本当はシンプルで品のあるデザインが好きだし、ピンクゴールドが私の生白い肌にはよく合うことも知っている。

 

男性用はちょっと太めで至ってシンプルなデザインであり、女性用は真ん中に小さいダイヤが1つ、慰め程度に埋めてあるものだった。

 

入店して10分くらいで結婚指輪が決まった。

 

はやっ

 

 

 

 

 

お店の男性が「支払いはどうされますか?」と夫に言っていた。

 

夫は、「振り込んでおきます」と言って請求書らしきものだけ貰って帰った。

 

帰りの車の中で夫が

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おふくろに前借して払っておいてもらうから。次の給料が入ったらおふくろに金返しておいてね」

 

 

 

と言う。

 

 

 

 

 

はぁ?

 

ふざけんな?

 

ママに前借して結婚指輪 しかも2つで15万程度 を買うだとぉ?

 

おまえには男のプライドっていうものはないのか?バーカ。<#`∀´>

 

豆腐の角で頭打って○んでしまえばいいのに!!

 

 

 

 

再婚してまだ1ヶ月も経たない頃の出来事で

 

私はこの珍獣のような宇宙人のような男との普通の意思疎通生活が成り立つのかと不安になった。

 

百歩譲って、義母からお金を前借するのはいいとしよう。

 

しかしな?

 

嫁の前でそれ言うか?普通。

 

みっともねーなー

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで、私は結婚指輪を身に着けていたのは、ほんの1ヶ月の間で、

 

「お料理すると隙間にばい菌たまっちゃいそうだから」

 

とか 都合のいい理由をつけて、身に着けていない。

 

夫にとって、結婚指輪を妻に与えるということは、仕事と一緒で、must do なのである。

 

そう。

 

仕事の一環のような流れだったのだろう。

 

この男の行動は、気味が悪く思えるが、実はすべてにおいて夫なりの意味があり、合理があると思っての行為なのだ。

 

娘の手前、明るく振る舞ってはいたが、心身ともに限界に近かった。

 

しかし、この「夫なりの合理性」ということに気づいてからは、ほんの少し心が軽くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ・・・なんだこの男、ただの勘違い男なんだわ

 

 

 

 

と思えたからである。