「読んで!」の約束 | 絵本読みたがり屋けんちゃんの 絵本あれこれ日記

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絵本のことや、保育園での仕事のことや、映画のことや、芝居のことや、気が向いた時に書きたいことをブラブラと書いています。

【読んでね!の約束】

絵本が大好きな4歳クラスの女の子で、

絵本よんでね!と声をかけ続けて

くれた子がいました。

僕は

おー 今度読もうな

と答えていたものの、

園長業務が慌ただしくスッポリとその

約束が頭から毎回抜ける。


昨日、やっとその子との

約束を守ることができました。

17時頃、仕事がひと段落してフーッと一息。

僕の机の後ろには絵本がズラーっと並んでいて、

そこに目がいくと

あの子と読んでないじゃん・・・

と思い出す。


絵本を5冊くらい脇に抱え

幼児クラスに行き、

レゴで遊んでいるその子の頭をポンポンと

して目配せ。

女の子はすぐにあっ!絵本だ!!と口にし、

レゴを急いで片付け始める。

僕が絵本を抱えてることに気づいた、

他の数人の子どもたちも急いでお片付け。


片付け終わり、僕の前には10人近くの子が座る。

絵本よもっかねー

と話すと、

これが読みたい! あれが読みたい!

と表紙を物色しながらワクワクがとまらない様子。


【読んだ絵本】

1人づつ、絵本を選んでもらい

久しぶりのミニおはなし会。

読んだ絵本たちはコチラ。



















【どれも面白いぞ】

今回読んだ絵本は、

つい最近買って読みたかったもの。


東京都現代美術館で買った






は、さすが?の美術館で

販売されているだけのことがある

考えるな 感じるんだ

的なもの。


【何が面白いかって?】


「てがみがきたなきしししし」は

郵便配達人がお化け屋敷に手紙を届けにいくと

みんなが配達人に群がり・・・最後には、

というもの。

文字なし絵本に近く、

お化けの言葉が印象的で

ホラー映画よろしくお化けが背後にいる感

を楽しめる。

子どもたちは次第にドッキドキしてきて、

変わる様が見てて楽しかったw



「めんぼうズ」は、

洗面台に置いてある綿棒が夜に箱から飛び出し

何かに導かれるように何処かへと向かう。

向かった先で綿棒たちはなんと驚きのも・・・

なんでそうなるんだーーい!

という、物語と結末は子どもの目を点にする

破壊力を持ってる。

楽しいのは、大量の綿棒が歩く音。

口にするのが愉快だし、

子どもたちもケラケラ笑いだす。



「ZOOM」は、

左めくりでも、

右めくりでも、

どっちもそれぞれの楽しさがある絵本。

左めくりだと、描かれる対象物が次第に小さくなる。

右めくりだと、逆に段々と大きくなる。

もちろん単に大きくなったり

小さくなるだけじゃなく、

鏡から鏡に写る自分へ

といった具合に世界が移動する。

(説明できん、買って読んで確かめてくれい)


読む前に僕は

小さなものが大きくなるのと、

大きなものが小さくなるのと、

どっちがいい?

と子どもに質問。

返答に合わせてめくりの方向を決める。

めくりに合わせ子どもと僕は

ズーーーッム!!

と全力で掛け声をあげる。

自分の声で見える世界が変わるわけだ。


読み終えるとみんな声がうるさいよー

と、自分もデカい声をあげていた男の子が

ブツクサ言うと。

それを言うなら、君もかなりのものだぞ。



「おおきなかぜのよる」は、

台風のような強風が

僕や大好きなおもちゃたちを飛ばし、

不思議な国は連れて行く。

そこで風さんとかくれんぼをして遊ぶものの、

自分だけ見つけてもらえず・・・

さて子どもはどうなるのでしょうか?


この絵本の、

素敵だなと感じるポイントは2つある。

1つめは、風の音。

もちろん擬音を使っているわけだが、

読んでいて段々と擬音から言語に変わってくる

ような気になる。

かくれんぼで子どもやおもちゃを見つける風が、

次第に擬人化されてくる。

そうすると読み手の僕が風になり、

絵本に登場するあれやこれやとかくれんぼを

楽しみ始める。

不思議ーーー。

子どもたちもドキドキしながら見て、

志村うしろーー!

的な楽しみ方をしてるんでないかな。

(古いか)


2つめは阿部結先生ワールド共通のもので、

お母さんが徹底的に

子どもの目線に立って触れあう

ぬくもりよ。

お母さんがとにかく優しい。

常に子どもが生きてる世界に自分も飛び込み、

2人の触れあいがあったかいこと。



最後にコチラ。

わたしが みてるもの なあに?

真珠。

わたしが てに にぎってるもの なあに?

真珠。

といった具合に、

子どもとクイズ感覚で楽しめる。

けどそれだけじゃ終わらない。

最後がほーーーそうくるか!

という展開。

物語の起承転結というより、

物から始まり、物に沿って進み、

最後は物ではないものに辿り着く。


はい、イミフー。

読んで確かめて下さい。

少なくとも、

読んでる僕ははいきたーと思いましたよ。

透き通った印象の絵と、

詩的な言葉が重なるから

生まれる読みの世界があります。


ん?

詩って子どもに

難しくないかだって?

大丈夫です。

この絵本は、楽しめます。

たぶん3歳から楽しめるんじゃないかな。


やっと約束を守れて、

しかも楽しいと。

いやーー、ただただ楽しかった。


現場からは以上でーす。