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看護師として、ある島の地域包括支援センターで働いていた時の話しだ。

毎朝、町から電車に揺られ、港行きのバスに乗るところから一日が始まっていた。
港に着くと、小さな船に乗り込み、日ごとに表情を変える海を眺めながら、その日の訪問先を頭の中で整理した。
穏やかな朝の海を眺める時間は、私にとって心を整えるひとときだった。

島に到着すると、バイクにまたがり、地域包括支援センターへ向かった。
地域包括支援センターは保健センターの上階、診療所のすぐ上にあり、通りでは診療所に通う住民とすれ違い、軽く挨拶を交わした。
職場の窓からは島全体を見渡すことができ、訪問前の慌ただしい時間の中でも、事務所で心を落ち着けながらその日の予定や必要書類を確認した。

この島は人口が少なく、高齢者が人口の全体の約半数を占めていた。
住民の多くは長年この島で暮らしてきた人たちで、互いの顔と名前を知っていた。
それぞれの暮らしが日常の中に息づき、助け合いの精神が自然に根付いていた。
一方で、医療機関や交通手段は限られており、体調不良を我慢してしまう高齢者が多かった。
そんな現実に直面するたび、看護師としての責任をひしひしと感じていた。