久々に開高さんのことを思い出した。いま、その原文に当たる余裕はさっぱりないのだけれども、たしか開高さんの小説だかエッセイだかに、昼間の暑熱で身体に染み付いた疲れはなかなか夜の寝床でも解消できるものではなく、早くからずっと寝床に横になっているのにいつまで経っても寝付けず、あらゆる外界の音に対して耳だけがどんどん冴えわたってゆく、という一節があったような気がしているのだが、はてさて、なんの作品だったろう。昨晩はずっとそうだった。今日も一日仕事なので早く寝付かねばと焦れば焦るほど、求める眠りは遠退いていった。それでも明け方近くやっと少しうとうとできたかもしれない。その浅い眠りのなかで、昨日がちょうど父の日だったからか、病気でややわけがわからなくなりかけの頃の父が、懐かしい笑顔で夢に出てきた。