作品への好奇心というのか、近頃無性に松本清張さんの『水の肌』や『黒い福音』(どちらも新潮文庫)などを手に取って読みたくなってきている。しごと帰り、足はジュンク堂書店池袋本店に向かいたかったが、我慢我慢。家に帰って留守中に録音した大瀧詠一さん追悼ラジオ番組を聴く。薬師丸ひろ子さんの『探偵物語』の主題歌が大瀧さんの作曲だったとは知らなかった。早稲田の先輩で最大限の気持ちであなたが尊敬したいひとをふたり挙げなさいと訊かれたら寺山修司さんと大瀧詠一さんのふたりの名前をたぶん答えるような気がしている最近。奇しくもどちらも東北のご出身。中上健次さんは紀州を隠国(こもりく)と呼んだが、東北も一つの隠国だろう。奥行き感覚が半端なくある。どこまでも深い。それは煌めく光でもあるし漆黒の闇でもある。そういえば、昼間はたしかに長くなったが、しごとから戻ってひょいと気付けば外は真っ暗。



富澤赤黄男さんの俳句より。


自転車がゆきすぐそのあとを闇がゆく 赤黄男