【直前メモの一部について今回得られた回答と、現地での質疑応答まとめ】
個人的メモを公開しただけのものです。時間と興味がある方はまあどうぞという感じです。
◆慰安婦問題=韓国という印象が強いことに違和感を感じざるを得ない。当初慰安婦になったのは日本人や朝鮮半島、台湾の女性だったが、フィリピンやインドネシアなど戦火が広がるにつれ現地の女性も慰安婦になっている(させられている)。にも関わらず、戦後の告発のトーンにあまりにギャップがあることをどう説明すればよいのか。慰安婦=日韓間問題と考えるのは問題の歪曲や矮小化に繋がるのではないかと以前から疑問に思う。
→(アジアの平和と歴史教育連帯のヤン・ミガン氏)矮小化に繋がるというのはその通りだと思う。トーンにギャップがあるのは政治情勢や経済構造の影響による。
*教育という答えを予想していたが、政治情勢だとか経済構造だとか、非常に漠然とした回答だった。
◆日本軍兵士と元慰安婦との間に子ができたという話は知っているか?
→(ヤン・ミガン氏)知っている。
(私)人数とか内容とか、詳しいことを教えて下さい。
(ヤン氏)(慰安婦問題の専門家ではないので)詳しいことは言えないが文書を探せばある。
◆アジア女性基金の償い金はそんなに問題なのだろうか。何が問題といえるか。
→(先輩Kさん)加害者と負担名義者が異なった場合に被害者は納得できるだろうか?日本政府はODAを沢山出していて財政的に決して支出が不可能なわけではないし、子どもであるわけでもないのに。他国慰安婦も本当に納得していると言えるのだろうか。
*ナヌムの家からの帰路の車中で話した。経済面での原状回復が可能になるのであれば被害者側としては満足でき得るのではないかと思ったが、加害者と負担名義者が異なることは確かに違和感を与える。
先輩Kさんは「謝罪と賠償はセットであるべき」だということも話された(かなり極端な例ではあるが、自動車に引かれたと仮定した時、物凄く丁寧に謝りはするけど1円も出さなければおかしいと思う。逆にカネは沢山出すけど一切反省の色が見えなければカチンとくるだろう。両者は基本的にセットで為されるべきものだということ)。
アジア女性基金についてはあまり細かく知っているわけではないので、上の交通事故の例との相違点を考えるためにも今後勉強したいと思う。協定との関係とかも含めて。
◆嘘を書いた吉田清治を擁護する人はいないだろうけど、それが韓国においても当てはまるかどうかはちょっとわからない。89年に「私の戦争犯罪」の韓国語版が出版されたが、これには根拠がないと調査報道した地元チェジュ新聞記者の記事が、20年以上前の当時では韓国の中央の新聞に全く伝わっていなかったという。現在の韓国国内における吉田証言の影響というか位置づけはどのようなものなのか。(ということを聞く前に念のため、「吉田清治を知っているか?」と聞いた)
→(興士団の方)吉田の名前は聞いたことはあるが、どういうことをした人物なのかはわからない。
*韓国では有名人だと思ってたので意外としか言いようがない。
◆97年から98年の通貨危機を契機として、新自由主義が強力に推進され経済格差が大きい。例えばサムスンをはじめとする十大財閥がGDPの8割を占める一方、それらの大企業に勤める国民は全体の1割に満たない。また非正規雇用率は日本より高いなど、経済構造が非常に歪。当事者である韓国の若者はこうしたストラクチャーをどう考えているのか。
→(興士団の方)日本の人がこういうことを知っていて驚いた。韓国の若者ではSNSを介しての経済構造に関する情報流通は活発であると思うが、慰安婦のようにデモや集会などのリアル行動は起こっていない。
◆朴正煕といえば毀誉褒貶の激しい人物だが、韓国の若者の朴正煕観は。
→韓国の方お二人に質問してみたが、いずれも国民を弾圧し続けたということで、ヘイトサイドだった。韓国は地域対立が激しい国として知られるが、そのひとつの原因が朴正煕政権にあるらしい。
◆(アジアの平和と歴史教育連帯のヤン・ミガン氏に対して)日中韓共同の歴史教材を作成することは内政干渉であるという批判に対してどの様に答えるか。
→植民地時代の歴史は日本だけの歴史ではない。韓国朝鮮の歴史でもある。そして1982年教科書問題に設けられた近隣諸国条項を作成の根拠としている。
*植民地時代の歴史は日本だけの歴史ではないというのはその通り。ただ教科書問題については全く存じ上げないので少しは調べておきたいところ。
◆(同じくヤン氏に対して)朝鮮は日帝に併合されたが、日帝の戦争に巻き込まれた国としてはフィリピン、インドネシア、シンガポールなど他にも多くある。その中でなぜ日中韓の三ヶ国を選ぶのか。
→問題意識を深く持っているのは中国と韓国であり、他の東南アジアの国々はその程度が弱いと言える(から)。
*これは上の内政干渉と是非ともセットでしたかった質問。中韓は5%のアジアと揶揄されることが念頭にあった。回答についてだけど、問題意識が弱い国々は除外してもいいのかと疑問に思う。また、問題意識の強弱だけが事の本質なのだろうか。或いはその意識ギャップの原因は何なのだろうか。ここら辺については相当努力して調べないと、歯が立たないと思わざるを得ない。
◆(仁川在住の日本人作家T氏に対して)本当はチルタル全てについて聞きたいのだが、時間がないのでひとつだけ。Tさんは先ほどの案内で、開国に伴い西欧から宣教師が大勢来て、彼らが朝鮮で教育を施し、このことは福であると仰った。このことに関連し、言語について質問したい。日本の朝鮮教育令の施行により、ハングルが必修科目となった。当初100校程度だった公立学校が5000校にまで急増し、識字率も向上した。1938年に朝鮮語教育が完全廃止になったが、それ以前までは日帝は民族から言語を奪ったのではなく、与えたのだと思う。これについての見識を聞きたい。
→学校が5000校できたからといってそれがつまり結果として日本が教育を施したということになっていると繋げて考えない方がいい。
学校の分布状況や就学の男女率、当時の経済状況、それ以外の教育内容など様々な要素を考える必要があると思う。例えば教育内容からすれば日本の歴史や日本語教育があったことなどから皇国臣民化教育であって、朝鮮人民のために識字率を高めるための道具ではなかったのではないかと思う。
*うーん、かなりピンと来ない。僕自身あまり知らないことも沢山あるけど、例えば分布であれば特定の地域に偏らないように設置されたし、経済状況といえば1920〜30年代のGDPは年間平均4%ほど上昇したわけであって、そのどこがマイナス要素なのか全く理解できない。ただ、他の教育内容は重要な要素だと思うのでこれから調べたい。
皇国臣民化のためだからダメというが、当時の日帝の目的が何であれ、朝鮮にとって良い結果が部分的にでも残ったのであればそこについては評価できるのではないか。宣教師も本来的には朝鮮民衆のためではなくて、布教を第一義の目的として活動していたと思うが、だからといって悪になるわけではない。