コミュニケーション齟齬はどうしても発生してしまうものですが、中でも危険な言葉、信じてはいけない言葉があると思っています。

ここでいう「信じてはいけない」とは、「額面通りに受け取ってはいけない」「自分に都合の良いように解釈してはならない」という意味です。

■「わかりました」
「わかりました」は声のトーンや表情で意味が全く異なる言葉です。
小さな声や、ゆっくりめのわかりました、は、実際はわかっていない蓋然性が高いです。

特に長い説明の後の単に「わかりました」は「何が」わかったのか、が不明瞭であり、何もわかっていないでしょう。

■「はい」
「はい」も非常に多義的な言葉です。
共感、理解、相槌、賛成など色々な意味がひとつの短いフレーズに含まれ得るため、話し手と聞き手で認識齟齬が発生しやすい危険な言葉と言えます。
説明側が早口で説明して、聞き手は相槌のつもりで「はい」を繰り返していたのに、話し手は「理解できているんだろう」前提でどんどん進める、という場面が往々にしてあります。
もちろん、聞き手としてはわからないことは質問した方が良いのですが、何がわからないかがわからないと、とりあえず相槌の「はい」を連発してその場をやりすごしてしまう、ということがあります。話し手としては、安易に「理解のはい」「共感のはい」「賛同のはい」と解釈しないことが大切です。

■「考えます」
何らかの課題について「考えます」と言ったのち、結局進展なしで放置状態、という場面は往々にしてあります。
「考える」とは、文字として思考を書き起こして整理することを指すべきです。頭の片隅に置いておいて、時間ができたら検討する、というニュアンスであれば、それは「保留します」「放置します」と実質的に同義です。

■「いえいえ」
相手に何かを謝ったときの「いえいえ」や、褒めたときの「いえいえ」も額面通りに受け取ってはいけません。
これは大抵の場合、本心からではなく条件反射的に出た言葉であり、殆どの人はつい癖で言っているだけと思った方が良いでしょう。

■「大丈夫です」
大丈夫?と聞かれたときに「大丈夫です」と答える人が多いですが、これも条件反射的な回答が多いものと思います。
「大丈夫?」と聞かれると、なかなか相談事を話しづらいかと思うので、「何か困ってることある?」などと言い換えた方がいいでしょう。