仕事で何も質問せずに退勤を迎える、そんな日というのはまずあり得ません。

 

他人に聞かないと前に進まないことは非常に多いですが、「質問の仕方」でどうすれば良いのか詰まってしまうケースも多いと思います。私自身がまさにそうでした。

改めて自戒の意味を込め、今回は、「質問」についての持っておきたい意識点を書き連ねてみます。

 

なお、想定状況ですが、

  ・質問者は経験の浅い若手
  ・同じ職場(オフィス)の人に質問する
  ・自分は新参者で職場のことがわかっておらず、職場の人ともそれほど親密な関係ではない

(早い話、SES現場の新規参画者ってイメージです)
とします。

 

・ありがちな迷い1、

・ありがちな迷い2、

・質問時に意識すべきマインド

という内容で書きます。


【ありがちな迷いその1:すぐに質問すべきか? vs 自分で調べたり考えた上で質問するか?】
特にリーダー層は常に仕事に追われているので、暇な人は誰一人いません。そういう時に、すぐ質問するかしまいか、で葛藤してしまう、ということがあります。

緊急時には、なりふり構わずすぐに質問しに行けるはず。しかし中途半端に時間の余裕があるとき、この迷いが生まれてくることが往々にしてあります。

これについては、「何がわからないか」で切り分けることが有効です。わからない事柄は、大きく2つに分けられると考えます。

まずは、世間一般的にわかりそうな情報(一般情報)
例としては、Javaの文法、Linuxのコマンド、ツールの使い方です。

 

これは、自分で調べる価値、自分で考える価値が高いと言えますので、それなりに調べ考えてから質問するのが良いです。自分で何もせずに質問したら、「俺はGoogleじゃねえ」というニュアンスのリアクションを返されかねません(私はそれでもなるべく答えますけど)。
調べ考えた上でわからない場合に、状況と、それに対して自分のとった対応を伝え質問、というフローをとるべきと思います。

もうひとつは、その職場(現場)固有の情報
例としては、要件定義、設計、職場(現場)のルールです。

 

こういうのは、ネットをいくら漁っても情報は絶対に載っていないですし、自分でいくら考えたところで正解が導き出せるわけでもありません(導き出せたら天才です)。自分で調べる価値、自分で考える価値が低いと言えますので、調査と思考は最低限に抑え、質問も短く済ませる方が良いと思います。

ただ知識と経験がないから、一般情報なのか固有情報なのか、まずそこも判断できない、というケースもあり得ます。特にIT業界は略語が非常に多く、初見殺しなところがある業界です。
これについては、まずはとりあえずググる!こと。検索してそれっぽいのが出てきたら一般情報、出てこなかったらローカル情報。単純にそう考えて問題ないと思います。

 

2年目以降は流石に知識も増えてくるし経験も積んできているのでこのあたりの対応はうまくなっているはずですが、新卒で右も左もわからないと余裕がなくて、かなり混乱する場合があると思っています(私自身がそうだった)。


【ありがちな迷いその2:直接話しかけて聞くか? vs チャットで聞くか?】
歩いていける距離のところに相手がいる。そういう時、直接話しかけて聞くか、チャットで聞くか。

 

直接聞くのは相手の時間を強制的に奪う側面があるので多用は避けたいです。かといってチャットではやりとりしにくい内容というのもある。

ということでほぼ全てのオフィスワーカーが多かれ少なかれ迷う問題です。

 

結論としては、結局のところ、直で行くか、チャットで行くかはその場その場で判断した方が良いことが多いです。

ただ、直接話しかけて聞くべきなのは下記のケース。
┗緊急時
 →相手の作業を止めてでもすぐに対応が必要ですので、物理的に行くべき。
┗質問内容が複雑で込み入っている時
 →機微なやりとりをしたい場合は直接が良い。長文質問を頑張って書いてチャットで送るのは時間的に大抵の場合コスパが悪いですし、そもそもそれできちんと相手に伝わる文にできる人は少数派な気がします。

チャットで聞いた方が良いのは下記のケース。
┗質問内容が簡単で、すぐに、または簡潔に回答できる場合
 →Yes、Noで終わる事柄や、資料のありかを聞きたい場合は、チャットの方が良い。
┗相手が時間、タスク的に忙殺されている場合

┗やりとりをログに残す必要性が高い場合

 

一番問題なのは、直接聞いた方が良い場面でもチャットばかりで質問してしまうこと。直接聞くことができない関係の状態で、チャットばかりで連絡するのはNGです。チャットに頼るな。そういう意味で、迷ったならば直接の方が良いと思っています。

【質問時に意識すべきマインド】
◆回答を求めています、ということが第一に伝わるようにすること。
連絡したはいいものの、相談なのか、共有なのか、質問なのか、依頼なのか、よくわからないというケースが新人だとありがちだと思います。連絡を受けた側からすると、自分がどういうリアクションを求められているのかがすぐにわかるだけで、随分と対応しやすいものです。


私の会社の役員が使っていた第一声のフレーズを思い出しました。
「質問があります!」

 

相手に求めるリアクションの種類を明らかにしましょう。


◆相手の(目先の)時間を奪って申し訳ないと考えすぎないこと。
1年目、2年目の私は完全にこの病気にかかっていました。質問をすることで相手の時間をとってしまうことを過剰なまでに恐れ、わからないことを自分で抱え込んで重症化する、ということが何度も何度も何度もありました。

わからないことを聞くのは仕事を前に進める上で当たり前の行動であり、目先の数分を奪って申し訳ないなどと思う必要は全くありません。逆に、聞かないことで遅延を招き、他者に影響してしまうことの方がよっぽど問題です。

今はそれなりに解消したとは思っておりますが、質問しない自分をなんとか正当化しようと、知らず知らずのうちに私が持っていたのは、「聞かなくてもその内自己解決できるかも」という楽観的な思い込み。

 

これは結構危険です。
「質問を保留していたけど、事後的に自分で理解できました」というのは経験的にあまりありません。

 

理解できるようになったとしてもそれは確率の低いタダのラッキーケースであり、「不明点」という爆弾を抱えながらの業務は、やる気の低下に知らず知らずのうちに繋がります。

ゴールに向けて正しいルートを走っているかわからない作業、避けられるなら避けた方がいいに決まっています。仕事が遅くなる大きな要因のひとつは、タスクの手戻りです。

あるいは質問をしたが、説明を聞いてもよくわからない。なんとなくこうだろうと思い、とりあえず「わかりましたー」といって、話が終わった後に、(ちゃんとは理解してないから)「どういう意味だったのか考えて頑張って(1人で)理解するぞ」のパターン。それは大抵の場合、再度質問しないとわかりません。確信がほぼほぼ持てません。「これでいいのかなぁ」という不安と同居しながらの業務は、確実に生産性が低くなります。

わかっていないことをごまかさず「わかりません」というのは、適切に使えば信用に繋がります。ベテランやリーダー層であっても、(基本的なことは別として)わからないことを素直にわからないと言って、教えを乞う人は信頼されます。

 

逆に、わからないことを放置、あるいはわかったふりして、後になって「わかりません」はただのバカ、ということを叩き込んで行動する必要があります。

◆状況の説明は落ち着いて着実にすること。
質問する際、前提となる状況を説明する場合は、落ち着いて着実に相手に伝わるようにすること。

 

よく見かける光景としてあるのは、自席まで相手に来てもらって、自分がPCの画面を操作しながら状況の説明→疑問点を質問する、のですが、画面の切り替えが速すぎて何を言っているのかよくわからない、というケース。

 

被質問者はついさっきまで他の作業をしていたので、即頭を切り替えて初めて聞くような内容を一瞬では理解できません。質問者にとっては自分がずっと眺めている画面なので、それぞれのウィンドウが何を示しているのかわかるものですが、初めて見せられた人にとっては、まずそこの把握からが必要です。

 

質問者からしたら、相手の時間を奪わないように、という思いでやっているのかもしれません。あるいは、特に若手からすると、自分の把握していることを、ベテランやリーダーは常に把握できている、みたいに思っているのかもしれません。

 

しかしそのようなことはありません。被質問者の理解が追いつかなければかえって時間をとられます。人というのは基本的に話の中でわからないことが出てくると、そこから先の話は頭の中に入ってきません。また巻き戻して説明を求めることになります。

ひとりよがりな説明にならないよう気をつけましょう。

【まとめ】

・一般情報は自分で調べた上でなおわからない場合に質問するのが良い。

・その職場固有の情報は基本的には即質問するのが良い。

・直接話しかけて聞くか、チャットで聞くかはケースバイケース。ただし、特に直接聞くべき場面でチャットに頼ってはならない。

・回答を求めています、ということが第一に伝わるようにすること。

・相手の(目先の)時間を奪って申し訳ないと考えすぎないこと。
・状況の説明は落ち着いて着実にすること。