就活の考え方と企業社会と労働法~『就活の法則』を読んで~
就活の法則
波頭亮著/講談社
初めての投稿として、少し変かもしれませんが、本を読んだ感想を書きます。
私は今大学3年ということで、言うまでもなく進路をきちんと考えなくてはならない時期であり、就活を多少なりとも意識している。
就活は大学受験より遥かに高度な情報戦であって、本格的に突入する前に情報収集をすることと、心構えを身につけておくことが必要だと強く思っている。
『就活の法則』は、Amazonで高評価で、リクルートなどプロパガンダ世界から離れた本当の指南書だという清廉さを感じたので読んでみた。
10の法則が述べられている。
特になるほどと思ったのは、
②相対エリートのポジションを狙う
⑥受けるのは5社で十分
次いで、
③現在の企業人気ランキングは逆に読む
⑤HPもOBも本当のことは語らない
⑧人の評価は、10人中8人は同じである
だ。
就活生の多くが30社40社とエントリーするというイメージなので、受けるのは5社というのは大胆な発想だと思ったが、確かに合理的な選択だと思う。流石に5社だけは不安があるが、的を絞って集中することは大事である。自分の場合は7社8社くらいにしようか。
p132で、採用担当者がイメージしている合格者像とは、
①明るく、謙虚で、落ち着いていること
②野心があり、負けず嫌いなこと
③賢い上に、努力家であること
と述べられている。
私は間違いなく②が最も弱い。そこそこでいいかなという思考が強いと思う。
謙虚さの点では、弱さを感じさせる謙虚さになってしまっていると思う。努力家であるという自覚もない。
これからの約半年で特に①と③を改善していく必要があると思った。努力という点では、本を150冊読むとか。とにかく今の読書ペースではまずい。
読んでいて気になったこととしては、3年3割離職の原因を、就活の失敗だとか、ミスマッチに求めているという点。本書の出版は07年。ブラック企業という概念、言説が人口に膾炙する以前だ。高離職率の背景には間違いなく若者を使い捨てにする多くの悪徳企業の存在があるので、一概にミスマッチと言うことはできないはずだ。
また、入社後の就活はハードワーキングである、と述べられている。実際それは事実だと思うが、著者は同期の上位3割には入れと言っている。それは、人一倍には頑張らないと到達できないだろう。
ここで労働法、特に労働時間規制だが、と、企業社会の現実のギャップに突き当たる。法的な正しさと、企業社会で上昇していくために必要な要素とは、一致しない。長時間労働してでも人事部や上司にインパクトを与えるために、現実問題として労働時間がああだこうだと言っている余裕が果たしてどこまであるのだろうかと疑問に思ってしまう。法律のことは考えず、自主的に積極的に働くということ。それをどう評価したらいいのだろう。
労働法を学ぶ身として、労働法の現実的な社会的機能がよくわからない。労働法=労働者を守る法律群という理解だけで全てが説明できるわけではないということだけは確かな様だ。労働基準監督官も少し考えてる身として、この課題は今後も頭の片隅に入れておきたい。(了)