07/29/12 DVD: coriolanus | **コティの在庫部屋**

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彼にしてみてばまあ、出会っちゃったって事なんだろうな。

宿敵であり、最愛の人であるその人と。



だから、殺さずにはいられなかった。



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「英雄の証明」

Coriolanus


最後のポスターのレイフおやじが怖くて堪らんのですが、この図柄を公式に使ってる国も結構多いので貼っときます。

どう見てもこれじゃあホラー映画だろうwww 夜、これのでかいのを見たらトラウマになりそうだよwwwww


という訳で、今月頭にレンタルが出て以来ずっとずっと見たかったシェイクスピアものの最新映画を漸く。

結論から言うと、いやあ、めっちゃおもろかった。マジで。

ここ近年映画化された「ヴェニスの商人」や「テンペスト」の比じゃないよ。最高だよこれ。マジで。マジだから←しつこい

現代に置き換えているシェイクスピアものがお好きでない方だとちっとキツいかなとは思うけど、見る価値はある。

舞台経験もあり、監督兼主演を務めたレイフおやじがこのイマイチ人気のない悲劇をどう解釈してどう描いたかを

観賞するだけでも意義があると思う。

ぶっちゃけ原作読んだ事ないんだけど(河合先生のガイダンス本で勉強した位)、これは読みたくなった。

読んで、どこをどう削って、どこをどう解釈したのか、是非とも確認してみたい。


言いたい事は山のようにあるんだけどw、まずは解り易い所から行きましょうか。

ケイアス・マーシャス=コリオレイナスのシンボルともなっているベレー帽がメチャクチャ可愛い。

これ、どうやら公式ページ で確認したところ、CA4LAとコラボした商品があったらしいwww 欲しかったかもw

また、冒頭に出てくるローマの紹介タイトルA Place Calling Itself Romeというのは、劇作家ジョン・オズボーンの言葉。

彼は1973年に「コリオレイナス」を改作しているらしく、そこに恐らくリスペクトを抱いての引用だろうと思う。

それと、頭から出てきて、市民の中に紛れてる反政府派の女性タモラを演じているのはルブナ・アザバルで、

彼女はあの衝撃作「灼熱の魂」で、運命に翻弄される母親役だったあの人。内戦や宗教戦争の惨さを果敢に描いた、

あの作品の主人公とも呼べる人が、この映画に起用されているというのも、偶然にしちゃ凄いなと。天晴レイフおやじ。


原作は前半結構タルいらしいのだけど、そのタルさをブッ飛ばすかのように、映画はまあどっかんどっかん激しいw

ただの戦争映画には勿論してないけれど、そのリアルさの追求っぷりが逆にすげえぞ、レイフおやじ。

貴族である家族=母親、妻、息子の住まう家のゴージャズさも凄いけど、衣装はディオールらしいのでここも注目。

その辺の、周辺の小道具もリアリティを追求してんなって感じで好感が持てる。


さて、そろそろ内容の話しましょうか。原作を味わう上で欠かせない知識が、コリオレイナスが貴族だって事。

ここが解ってないと、どうして彼が母親に対して頭が上がんないのかとか、何故彼があそこまで民衆を嫌うのかとか

正確な意味が解らなくなってしまうんだよね。この辺、河合本にもさらっとかつキチンと書かれているので御参照を。

でもね、今書いた事と反対の事を言うようだけど、この映画、ココが解ってなくても、ちゃんと伝わるようになってる。

コリオレイナスはマザコンだーとか、そういう下世話な解釈が出来にくくなってるのが凄い。どういう事かというと、

まずね、コリオレイナス=コリは小さい頃から母親に、名誉と名声を何よりも重んじるようにしつけられている。

そう育てられてるもんだから、ある意味戦争マシーンみたいになっちゃってるんだよね。マシン軍人というか。

今でもあるよね、こういう話。ほら、デルトロが出てた「ハンテッド」なんかもこの部類だし。←ココ重要

で、そのまま大人になっちゃったもんだから、今では国のために戦う事は厭わないけど、世間的バランスが取れない。

だから、誇りが高過ぎて、腹芸でいいのに、民衆に頭を下げる事を決して良しとしない。

孤高の人、と言えば聞こえはいいが、母親ヴォラムニアも言うように、ただの頑固者に成り下がっている部分もある。

(ヴォラムニアを演じたヴァネッサ・レッドグレイヴ様、素晴らしかったです、あの緊張感!!!)

この辺が、傲慢と取られたりするんだけど、師匠メニーニアスは彼のバカ正直さが解っているから、最後まで庇う。

コリはさ、媚びないんだよね、人にも世間にも。だから誤解されるって事をメニーニアスは知っている。

このメニーニアスを演じたブライアン・コックスが巧過ぎて泣ける。「RED」でもおいしい役だったけど今回もいい。

なもんで、このコリオレイナスという男が善か悪か、その曖昧なところが実にシェイクスピア的であり、

その単純にはいかないところこそ、レイフおやじが映画化に着手した所以のひとつじゃないかと勝手に思ってみたり。


もういっこ、彼が民衆に頭を下げず、彼らの事をとことん下衆呼ばわりする理由を、私は「大衆の愚かさ」と見た。

この映画、これまでの現代解釈シェイクスピア以上にテレビ=マスメディアを使うのが巧い。これは見事。

で、そういうものに扇動されてしまう民衆=大衆なんて、誰が信じられるか、とコリは言っているようにも見える。

また、いい加減な政治家=護民官の言うことにあっさりと騙される民衆の姿をしっかり描く事で、

口先だけで騙される愚かさを、我々に見せてくれているようにも思える。この辺が実に巧いんだよね。

だから、コリがどうして母国に反旗を翻そうと思うのかが、こっちにも無理なく伝わってくる。

現代解釈にしてはあるけれど、ドンピシャリハマる台詞が素晴らしい。この辺がシェイクスピアの懐の深さ。

しかしながら、護民官シシニアスを演じたジェームス・ネズビット、憎さ100倍の巧さが光ってたwww


とまあ、場面をかなり端折ってはいるものの台詞をいっこも変えないで通した「コリオレイナス」、

もう一人の主人公はと言えばそれはやぱし、彼の最大のライバル、ジェラルド・バトラー演じるオーフィディアスよ。

このね、オーフィディアスがね、もうね、今回の映画のキモだと思うんだよね私は。

何がキモかってね、あなた、オーフィディアスのですよ、


ぶっちゃけコリとオーフィーはすっごく深いところで繋がってんだと思う。

何度も殺し合いのような戦いをしてくればそりゃあ、相手への憎悪もだけど、敬愛の念が生まれても不思議じゃない。

だからコリも前半、「もしも生まれ変われるならあいつに」って言うんだよね。これもおおっと思うんだけど、

コリが祖国に裏切られて頭に来てオーフィーのところへ乗り込んで、俺と一緒にローマを倒してくれって言うと

オーフィーが言うんだよね、「好きな女が最初に俺の寝床に入ってきた時より、俺は今心が躍っている」ってw

おいおい、それは恋の告白か?www なーんて下世話な話もどうかお許しを。

まあね、この時代だから、今風の愛情とは全然違うのはこっちも解ってはいるけど、でもこれだって立派な愛でしょう。

人を愛するのに、男も女も、敵も味方もない訳で。


ところがそう単純じゃないところがシェイクスピアの巧さでさ。オーフィーがコリに抱く思いというのはもっとずっと複雑。

オーフィーは、コリには絶対勝てないと思ってて、その分どこかで尊敬もしてるんだよね。

だからこそ、寝床を襲ってでも(また寝床かいwww)あいつを殺してやるっていう強い思いを持っちゃう。

だけど、そんな彼の持つカリスマ性に、憧れでもあり憎しみでもある忸怩たる思いも持ってる。

あいつがいる限り俺は絶対ナンバー2なんだよな。だからあいつはいらない。でもあいつは俺より凄い。

この辺、「オセロー」のイアーゴーに似てると思うのは私だけではないだろうな。

(特にローレンス・フィッシュバーンがオセローを、ケネスのおっちゃんがイアーゴーを演じた1996年バージョンは必見。

ただしレンタルがないんだよね。セルもないし。VHSあるけどバカみたいに高かったw またBSでOAしないかなー)

ただ、イアーゴーは、マジでオセローを人間としてを貶めようと思ってるのに対し、オーフィーはそうじゃなくて、

俺の手で殺してやるって思ってる。ここがだと思うんだ。イアーゴーにはオセローへの愛は微塵も感じられない。

だから、最後、母親の説得に応じてローマと和解してしまったコリをオーフィーは許せない。

もちろんそれは、あいつがいる限りナンバー2だからっていう気持ちが無くせないからなんだけど、

折角俺と組んでローマを倒そうって言ったのに、何で女達の説得で寝返るんだっていう気持ちもあったと思う。

実際それに似た台詞も出てくるしね。つまり、オーフィーにとってコリの寝返りは、失恋みたいなもんなんだよ。

だからオーフィーはコリを許せない。一度裏切ったコリを、信じる事が出来ない。コリが幾ら「お前の元に戻った」

って言ってきても、お前はどうせまた裏切るんだろうっていう、猜疑心が消えない。そしてコリを殺すよう部下に言う。

とどめの一発は自分の手でなすのだが。さあココからですよ奥さん(何だよいきなり)。

コリはオーフィーにとどめを刺されてぐったりするんだけど、それがオーフィーの腕の中なんですよ。

オーフィーは彼が息絶えるまでずっとコリを抱きしめている。で、死んでしまうと静かに彼を道路に横たえ、

呆然と悲しみに暮れるんですよ。まるで永遠に自分の分身を失ったかのように。

そう、オーフィーにとってコリは憧れであり憎しみの対象であり愛していた人であり、もう一人の自分だったんだろうと。

背中合わせの自分、というかね、そんなもんだったんじゃなかろうかと、思った訳ですよ。だからこその愛憎劇よ。


許しと裏切り、というのがこの作品のテーマにもなっていた訳だけど、それはコリだけの話じゃなくて、

オーフィーサイドの話でもあった訳だよね。いっやあ、深いなーシェイクスピア!ひゃっほうだよ。

今回この作品で、今までも好きだったけど、ハッキリ惚れました、ジェラルド・バトラーにwww

ホント私って、暑っ苦しい俳優が好きだわ~wwwww


いやあ、とにかくやたら書きましたけど、久々にお薦めのシェイクスピアですので、力入ってしまったw

まあ、ワタクシが勧めるシェイクスピアってのは世間的評価低い事が多いですけど(爆)、

騙されたと思って是非一度ご覧ください。


この記事書くのに1時間半もかかってる自分が憎い。


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