「ローラ・スマイルズ」
Laura Smiles
時間軸がずれている作品というのは最近じゃあ全然珍しくないのだけど、
この映画は、時間軸のズレ、というかブレが、映画が進むにつれて甚だしくなってくる。
それは間違いなく主人公の中の崩壊が激しくなるに従っているのだろう。
その点は非常に巧い。
ただ、最後の方、あれでは主人公の崩壊、というより雰囲気に流されてしまったような気がしないでもない。
勿論その前に、息子に手をかけている夢を見るという伏線があるので、
彼女のその、夢かうつつか解らないというそれも、彼女の幻覚なんだろうとは思うけど、
でもさあ、あの人をそのようにしてしまうという、彼女の理由が解らない。
確かに彼はあの時彼女を「否定」するような事を言った訳だけど、彼女を愛していたというのは間違いなし、
もしも逆にそれが理由で彼女が彼をそうしようとしたのなら、それは大間違いというもの。
幾ら自分が傷ついているからと言って、彼をああするに足る理由ではない。
だって彼を求めたのは、大体あなたの方でしょう?
自分の分身である愛する者を失った事への共通点があった彼を。
巧いんだけど、魅せるんだけど、何かが惜しいんだよねえ。
でも私この映画嫌いじゃないわ。
深い深い喪失感を懸命に描こうとしてる、その姿勢は買う。
悲しみは絶対に真っ直ぐに受け止めなくてはならない。
じわじわと何もかもが侵食される、その前に。
