「ビッグ・スウィンドル」
Big Swindle
原題訳「犯罪の再構成」。予告編ではこんな事が言われていた。
「『ユージュアル・サスペクツ』『レザボア・ドッグズ』を凌ぐクライム・ムービー」
このコピー、私に喧嘩売ってるのと同じ(爆)
私にとってこの2本と「LAコンフィデンシャル」「テルマ&ルイーズ」は
特別にお気に入りの映画なのだ。
それを凌ぐと簡単に言われた日にゃあ、黙ってはいられませんわ。
近所のレンタル屋に待てど暮らせど入らないので、腹を括って買った。
先に結論を言ってしまうと、この映画の前半を様々なクライム・ムービーへの
オマージュの塊だと思って見れば物凄く楽しめる。
まず主人公、パク・シニャン演じるチャンヒョクの衣装。
濃い目の赤茶のレザージャケットに柄物の開襟シャツにパンツ。
「ファイト・クラブ」のブラピの衣装ソックリ(写真2枚目)。
ガレージで騒いだり話をしたりする辺りや、偽札を作る行程を見せる所、
変装系の男がいたり…といった部分では「オーシャンズ11」を思い出す。
強盗に入るのが2人、というところは「ユージュアル」でのレッドフット絡みの
宝石強奪の最初を思い出す。駐車場のシーンですね☆
5人のドン、キム先生役のペク・ユンシクは文字通りゴッドファーザーばり。
これに対し本人も「韓国の映画にお手本がなかったから、自然に
パチーノに似てしまったのかな」って言ってるし。
「レザボア・ドッグズ」の醍醐味の1つは最初のタイトルバック。
黒いスーツの8人がスローモー映像で歩いて行く。
くうううう。思い出しただけでも痺れますわ~。
で、勿論やってますわよこの映画でも!!5人がスローモーで歩くシーン。
バックから映してるところでは思わず笑いが。まんまなんだもん。
でもね、それでいいんです。
だってコメンタリーの中で監督が言ってるもん。
自分は洋画の様な韓国映画を撮りたかった。カッコよく出来て嬉しい。
だから逆に予告編の様なコピーで煽るのはどうかと思うんだよね。
この映画に関わった人達はみなクライムムービーが大好きで、
自分達でもあんな映画を作りたいと思って携わっていたのだという事が
コメンタリーを聞いたりインタビューを見ていたりすると伝わってくる。
監督、カメラ、役者、道具、ロケ…細部まで古臭くなく手がかかっている。
この映画、先入観念通りの韓国映画じゃないですよ、ホント。
50億ウォンを韓国銀行から騙し取る作戦を立てた詐欺師5人。
だがその計画の裏をみると、実は金なんか問題じゃなかった。
…という、この辺りが「ユージュアル」と同じ。
もっと同じ所があるのだけど、話の核心に触れてしまう事になるので
ココでは言わない事にする。
でも、ちゃんとオリジナリティーがあるのが「スウィンドル」のいいところ。
役者で言うならヒロインとなるヨム・ジュンア。実は彼女はミス・コリア。
美人でスタイル抜群なのに、可愛くオカシなアバズレを上手く演じている。
最初に見た時より2度目の方が良く見える、不思議な女優さん。
結構弾けとんだ演技をばんばん見せてくれていいです。
そうそう、この映画を私が気に入った理由は出てくる女優さん達の髪型。
誰一人、あの韓国女優トレードマークのワンレンストレートがいない(笑)。
ストレートでも前髪をぱつんと切っていたり、似合うスタイルが解ってる。
くるくるの可愛いパーマをかけているのもすっごく似合うし、美人が多い。
1番お気に入りは最もコミカルなオルメ役のイ・ムンシク。
絶対笑えます。もう最高です。顔からして、地顔が笑ってるんだもん。
感情表に出やすいし、あんな詐欺師いないよ(爆)。
レザボアで言ったら「ピンク」かな。ブシェミの(笑)。
ちょっと違うけど「ユージュアル」だと1番フェンスターに近いのが彼かも。
それと、ど根性刑事役のチョン・ホジン。あの味のあるお顔!!
「釜山出身だけどソウルに20年住んでる刑事」という設定だった様で、
私には解らないけど、映画中ずっと方言アクセントで喋っているらしい。
役柄に似合った根性のある人みたい。「デイジー」にも出てるそうです。
主人公を演じたパク・シニャンは「パリの恋人」といういかにも韓国映画!!
って感じの作品に出てる人だそうだが、そんな感じがしない。
少なくとも、ヨン様とかゴン様とは、パクさんは違う感じです。
映画をご覧になる方へ私からプレゼント。
パク刑事(チョ・ヒボン)の動きにどうぞ最後までご注目下さい★
彼の描写もある意味では…「ユージュアル」へのオマージュかもね。
キャラ立てもしっかりしてるし、カメラワークがとてもいい。
ちょっとレトロな雰囲気の音楽も意外に馴染んでて合格。
難を言えばラストのタイトルバックで解る「その後」の部分。
最初は正直興ざめした。が、2度目に見るとこれはこれでいいかと(笑)。
ただ、やっぱりここはなかった方が映画に迫力が出たとは思うけどね。
その甘さがあるため、私としてはやはり「ユージュアル」の勝ちかな!!
でもでも!本編、コメンタリー、吹替えを一度に見たくなる映画だもの、
お気に入り映画に昇格だわヽ(^。^)ノ
韓国が生んだ、上質なオマージュ・ムービー。
ユージュアルやレザボアがあったからこそ、アジアでもこんな映画が生まれた。
「犯罪の再構成」か…ああ、なぁるほど☆な1本。
