2009/07/08 from a Talk Show | **コティの在庫部屋**

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映画+音楽+本+雑貨+ご飯+お酒+「おべんきう」=私。

いまやもうベテランの域に入った女優さんのAさんは、
その昔、歌手としてもデビューしたんだそうだ。
その時の、レーベルメイトに、
これまた、いまやカリスマチックなベテランミュージシャンであるBさんがいたそうで、
レーベルメイトだった彼らは、自然と電話番号を交わしたそうだ。


ある日、Aさんは女優の仕事の中で、
ものすごく嫌な事があって、凹み切っていた。
お酒を飲んでもイマイチやり切れぬ思いばかりが残る中、
ふとBさんの事を思い出した。
こんな時は、俳優仲間、つまり「同業者」以外の人と話がしたいと思ったAさんは
Bさんの電話番号にかけてみた。
Bさんは電話に出て、Aさんの愚痴を、うんうん、といって聞いてくれた。
話しているうちに、Aさんはだんだん気持ちが落ち着いてきた。
お酒も相当入っていたAさんは、次第に睡魔に襲われ、
どうやって切ったかは定かではないが、とにかく電話を切り、そのまま寝込んでしまった。


電話が鳴っている。
遠くで電話が鳴っている。
どれだけの時間が経っていたのか。気がついたAさんは、慌てて受話器を取った。
「もしもし」
「あ、よかった」
Bさんだった。
「大丈夫なんだね。よかった。じゃあね」
電話はそこで切れた。
電話はちゃんと切った筈だったが、
Bさんは、Aさんの様子を心配して、折り返しの電話をかけてきてくれたのだ。
恋人でもなければ、親友でもないのに。
Aさんは温かい気持ちになって再びの眠りについた。




あれから30年…。
Aさんは突然知る。
マネージャーの突然の告白によってだった。
あの日、BさんはAさんを本気で心配し、
タクシーを飛ばしてAさんのマンションを目指していたのだ。
Bさんの住まいからAさんのマンションまでは、都内とはいえ決して近くはなかった。
そしてBさんは、途中で一旦タクシーを止め、
公衆電話からAさんに電話した。
「あ、大丈夫なんだね。よかった」
Bさんは、Aさんが無事に電話に出たのを確認し、心から安堵した。だから、
「じゃあね」
と言って微笑むと、静かに受話器を置いた。
テレフォンカードの出てくるピーピーという音を聞きながら、ふとBさんは気付く。
しまった。
もう、タクシー代がない…。
Bさんはタクシーの運転手さんに代金を払うと、そこでタクシーを降りた。
そして、そこから自宅まで、てくてくと歩いて帰った。




Aさんは思う。
どうしてもっと早くこの事を知ることができなかったんだろう。
あれからも会っているのに、Bさんは一度もその事をAさんに言わなかった。
マネージャーも知っているのなら、どうして。
お礼を言えないまま、今に至るAさんは、
今日この事を、やっと公共の電波に乗せて、言う事が出来た。
Bさん、本当に、ありがとう。
あなたみたいにいい人は、そんなにいない。







という話を今日、仕事から帰ったら母に聞かされました。
Aさんは、女優のかとうかずこさん。
Bさんは、ミュージシャンの、佐野元春さんです。
「ごきげんよう」でかとうさんが、話されていたそうです。


元春。
昔ライブに行った時も、メチャクチャいい人だったなあ。。。




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