「ウランバーナの森」奥田英郎:著
この小説は大好きだ。このラストが感動的な内容で大きな気付きがあったから少し紹介する。

主人公はずっと母親を恨んで生きてきた。全く母親から愛されずにきたからだ。
どうしても死んだ母を許すことが出来ない。そんなときに霊体験をウランバーナの森ですることになる。
それは母親の人生を自分が歩むというものだ。

母親は子供の時から虐待を受けてきた。そのあとも悲惨な人生だった。子供ができたときこの子は私と同じような思いはさせたくない!大事に育てよう!そう決心する。それだったのに、無意識のうちに意思に反して子供に暴力をふるってしまう。親を恨んできたのに恨んだ親のようになってしまった。この子を愛したいのに、なぜか押さえられない。。。。このままこの子を育てると虐待してしまう、、そうやって逃げるように子供の前から消えていった。そのときの思い、痛み、苦しみ、地獄というほか言い表せない現実を主人公は母親となって味わう。
霊体験から戻ってきた時に主人公は母親を許していた。「恨むばかりで母親のことを理解しようとしていなかった。今は母親の傷を癒すように抱きしめてあげたい」と。


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