丘の上の裏切り者の館④
さて、見事に年を越えて、予告したとおり、今回も
『Betrayal at House on the Hill/丘の上の裏切り者の館』
の、個人的日本語化プロジェクトのつづきをお届けします。
ちなみに『Betrayal at House on the Hill/丘の上の裏切り者の館』とは、
タイトルにもある通り、「丘の上に建つ1軒の巨大な館」を舞台にした
ボードゲーム。
プレイヤーはそれぞれ、この館を訪問してきた「キャラクターの1人」となって、
その中を探索し、様々な怪異に出会い、潜り抜けていくという、
映画の【シャイニング】みたいなゲーム(また思いつきで書いた)です。
つまりは、『RPG(役割を演じるゲーム)』に近いボードゲームなのです。
以上、また説明終わり。
さて、前回書いたとおり、まずカードに書かれていたテキストを全て、
日本語文章に書き起こした私。
この日本語化、文章の量も勿論だけど、中には意味不明な英文もあって、
翻訳にかなり苦労しました。
例えば、イベントカード【PHONE CALL / 電話の呼び出し】の中には、
突然鳴り出した電話をとり、そこから聞こえてくるおばあさんの声に
耳を傾けるというイベントがあるんだけど、そこにこんな文章が。
「私はいつも見守っているからね。パティーのケーキ。見ているからね」
これは購入した『ゲームストア バネスト』さんが付属していたシールに
書いてあった文章そのまま。
パティのケーキ?
なんだこれ。
うーん、このままだと、見事に意味がわからない。
さすがにこれは、このシールを作ったお店の人のタイピングミスか翻訳ミスだろう、
と、実際のカードの方の英文をチェッしてみると、
・・・・・・あれ?
確かに、前半と後半のセリフの間に、唐突に「pattycakes」と書いてある。
うーん、「パティーのケーキ」て、ナンダ?
という訳で調べてみると、これ、英語圏の人たちが小さい子供のころに
手を打ち鳴らして遊ぶときの、歌い出しみたいなもの、らしい。
日本でやる、「せっせっせーの、よいよいよい」、みたいなものかな?
意味は分かったけれど、では実際にどう訳すのか、というのは
また難しい問題。
さて、どうしよう。
この場合、重要なのは初めて遊んだ人でもすくに内容を理解できること。
変にこの遊びのことをカードに詳しく書いても仕方ないし、かといって、
そのまま書くと意味不明な文章になってしまう。
そこで色々と考えた結果、このカードの場合、
突然かかってきた電話をとってみると、
向こう側から、まったく見知らぬおばあさんが、
まるで自分のことを全て知り尽くしているかのように
訳知り顔で話しかけてきて、なんか怖いぞ、
という内容が伝わればいいんだな、と私は解釈。
そこで、私はこの部分の文章を、
「私は大切なあなたのことを、い、つ、だっ、て、見守っているからね…」
と訳してみました。
はい、という訳でこれが実際に作ったデザインのシールです。
こんなふうに、1つ1つの文章を、とにかく分かり易く、
初プレイの人でも、混乱しないですんなり読んで遊べるような文章に
変えていく作業、というのを延々と繰り返していったわけです。
さて、それが終了して、いよいよ実際のシール用のデザイン製作!
ここで私が重要視したのは、せっかく元々が素敵なデザインのカードなので、
できる限り、シールで覆わないようにしたい、ということ。
そこで、上にもある通り、貼るシールをできる限り小さくする為、
カードの英文が書かれている部分だけをシールで覆い、
それ以外の部分は元のカードのデザインがそのまま見えるように工夫することに。
つまり、80種類のカードには全て違うテキスト、全て違うデザインが
採用されているわけだから、当然貼るシールのサイズ、シールを貼る箇所も、
すべて違うものになるわけ。
・・・・・・これ、よく考えたら、気が遠くなるような作業が必要だっただけど、
このときの私は、やっぱり深く考えもせずに製作を開始。
途中、なんて馬鹿なことをしたんだ・・・・・・と後悔した頃には、
作業も大半が過ぎ、すっかり後戻りできなくなっていたのでした・・・・・・。
あんた、ほんと馬鹿だよ・・・・・・。
というわけで次回、ついに完成するまでの最後の工程と、
カード以外のルールブックや、タイル部分の日本語化作業などについて
一気に書いて終わります。
ちなみに、これがシールを実際に貼った状態のカード。
こうしてスキャンして見ると、ほとんどわからないくらい、かも。
つづきます。