そういえば関東ローカル ④
【第011回】
1988年.12月23日放送
構成作家:廣岡豊・和泉光晴・藤沢めぐみ
〝〝クリスマス 今夜こそ決めてやる!〟〟
ユーミンの歌を唄いながらはじまる、危険なオープニングはいまだ続けら
れているものの、ピアノの前で毎回行われていた全員でのオープニング
トークは廃止され、歌い終わると同時にみんなでその日のテーマをコール、
そこから怒涛の勢いで次々とショートコントが披露されていくスタイルに
変わり、番組のテンポは一気に向上。
✤番組では初めての、最初から最後までを1人で演じきるショートコント、
【メリークリスマス】では、野沢はハイテンションでクリスマスの準備に
勤しみ、ツリー、シャンパン、ケーキと、準備万端となった部屋の中を
見回して、来客者の予定などない、1人きりの自分にポツリと、
「なにか足りない・・・・・・」
【クリスマスプレゼント】では、恋人と一緒に歩きながら、プレゼントについて、
「サンタクロースに頼んでおいたから、今日は靴下を枕元に置いて寝るんだよ、
お祈りも忘れずにね」
と、ロマンチックに語る彼氏(内村)に、
「かわいい・・・」
と、盲目の愛で思わず賞賛もためらわない彼女(野沢)だが、照れるなあ、
と恥ずかしがりながら彼が打ち明けた一言、
「だって、ママに毎年、そう言われてるからさ」
に、自分が大きな過ちをおかしていたと、初めて気づく。
✤放送日の翌日はクリスマスイブ、という華やかさがそうさせたのか、それ
とも、ただ番組が成熟してきた証なのか、その後、番組が11時台に移動
したあとも人気を獲得しつづけることになる、人気キャラクターたちのコント
が、何故かこの回の放送に集中する。
第3回の放送で初登場を果たしたときから、すでに揺るぎないキャラクター
性を見せつけていた浴衣兄弟は、フォーマルな服装で決めている男女が
集まるホテルのクリスマスパーティーの会場にも、相変わらずの浴衣で
乱入し、会場のボーイ(内村)に、
「兄ちゃん、梅ワリは?」(松本)と訪ねるも、丁重に、ここには置いてござ
いません、と説明されると、
「何や、まるで神隠しにおうたみたいやな」
それ以外でも、
「アニキは○○でキューッとやるのが好きなんや」(浜田)
「サッサとおかえり!ナニワの浴衣兄弟!」(内村)
という定番セリフもすでに登場し、ノリノリで、場の空気を読めない兄弟を
アドリブで演じていく浜田、松本と、それらをどこまでも冷たくあしらいつづ
ける内村との強い対比は、脇役として後ろに登場していた他の出演者たち
に、余計な芝居を挟む余地を、まったく与えないほどの完成度を見せる。
そして【クリスマスツリー】では、必死にクリマスツリーの準備をしている
息子(内村)に、帰宅してきた植木屋の父(浜田)が職人魂を刺激されて、
バランスが悪いな、とツリーをハサミでバッサリ。
「なにするんだよっ!」
と、当然の抗議をする息子に、
「ガタガタ抜かすなあっ!こちとら、江戸っ子じゃあ、ボケェッ!」
と、勢いあまって容赦ない関西弁が飛びだし、息子は思わず、
「本当の父さんじゃない・・・・・・」
と、悲しげに呟いて、この父ちゃんと息子の確執のドラマは、まだまだ続く
ことを予感させた。
さらに、【タキシード】と、タイトルがそのままの、男性陣4人がお揃いの
タキシードを着て、1本のマイクでベタな漫才に挑戦する、タキシーズも
この回が初登場。彼らも11時台の放送時まで人気を継続させる人気
キャラクターになっていく。
✤のちの音楽コーナーにつながる、【ヤマタノオロチ合唱団】では、すでに
戸惑うことがないくらい竜の扮装に慣れ親しんでしまった出演者たちが、
コーナー開始早々、すでに今日は収録が1時間もおしていることを暴露。
しかも、「これまでの中で1番難しい」、という課題曲を事前の練習は一切
なしで歌い上げねばならず、半ばあきらめに近い態度と覚悟の中、1人、
楽なポジションにいてハリセンを振るだけの浜田を、全員で一致団結して
非難することにのみ力を注ぐ。
そして、【バックステージの人々】の最終回をうけて、先々週から新しく始
まった連続シットコム、【熱血記者 南原一郎事件ファイル】。
今までにないくらい凝った小道具とセットで作られた、新聞社のデスクは
まるで本物さながらだが、実際にここで展開する物語はほとんどなく、
すでにほぼ、宝の持ち腐れ状態に。
前作から引きつづき顔にメイクをして登場した松本は、飲んでいるお茶を
「燃料のハイオク」と、うそぶき、使えない新人の南原には、ロケットパンチ
するぞ、と脅すなど、なぜか、人間かどうかも怪しいキャラクターであること
を強調するが、長続きしそうな気配はすでになく、これまでは二枚目の青年
役を数多く演じてきた内村が、ついに顔にメイクをして登場させたキャラクター、
ムラさんが逆に躍進。
以降、ずっと【夢で逢えたら】の中では、舞台を変えつつも、幾度となく登場
することになる名物キャラクターの、これが初登場となった。
そのストーリーは、真剣になって悩む上司たちに、自分だけが重大事件から
外されていると思い込んだ南原だが、実は彼らが迷っていたのは、来年の
年賀状の絵柄をどうするか、だったことが判明。
来年はヘビ年だから、「今年もよろしくニョロ、と書こう」、と言った松本は、
”ニョロ”、の語感が、思いがけず面白く響いたことで、笑いが起きたことを
見逃さない。
内村が低い声でナレーションをしてコントを締め、いくつかの可能性と、いく
つかの定番を生み出した、この回の放送を終わらせる。
✤エンディングでは、今年最後の放送ということで、これまでやってきた放送を
総括していくメンバー。
「最初に始めたころはどうなるんかな、と思った」と、松本は語るも、メンバー
同士の会話には、そろそろお互いへの変な敬語もなくなり、容赦なくツッコミ
も飛ぶようになっていて、最後、
「テレビをご覧んの皆様、来年もよろしくお願いしまーす!」
と言って番組を終わらせたのは、これまで番組の進行役らしいポジションに
いた清水ミチコに代わり、ついに自分が、最も力を発揮できるポジションを
確保しつつある浜田だった。
番組は間違いなく、誕生、変革のときを経て、進化と安定のときに向かって
動き出していることを予感させている。

