路上パフォーマンス。 | 初心者同志

路上パフォーマンス。

旅行に出かけると、必ずやっていることがある。


その地域の駅前、あるいは繁華街、と呼ばれるあたりにまで

足を伸ばして、路上でパフォーマンスしている人たちを見に行くのだ。


この楽しい文化、私が生まれ育った地域周辺では、

これまでに一度だって見たことがない。

路上でなにかを披露する、という考えそのものが、きっとないからだ。


初めて見たのは、子供のころに連れて行ってもらった

北海道旅行でのことだった。


普通に一般の人たちがどんどん歩いている路上で、

やはり見た目は歩いている人となにも変わらない風貌の人たちが、

唄を歌ったり、サックスを吹いていたりする。

それがどれも、すごい音量で、初めて見たときは、

いったいこの人たちは、どんな理由があって、

こんなひどい嫌がらせみたいなことをしているんだろう、と

真剣に考えてしまったくらいだった。


よく見ると、そういった人たちの前には人だかりができていて、

みんながじっと耳を傾けてそれを聴いていたりする。

中には拍手をしたり、お金を投げ入れている人もいる。


もちろん、ほとんどのところでは人だかりどころか、

立ち止まる人さえいなくて、足早に通り過ぎていくの人たちを前にして、

ただ黙々と、自分のパフォーマンスに熱中している。


最初に見たときは、変なことしているなあ

もしくは、ちょっと怖いなあ、というくらいの印象だったのだけど、

その後も色々な場所で見かけるようになって、

そのバリエーションの豊富さが、だんだん面白くなってきた。


一度、延々と詩を朗読している人を見たことがある。

一人で道に立って、何も持たず、なにが特別な道具を用意するわけでもなく、

ただ黙々と、朗読をつづけている人だ。


詩、だったと思う。

聞いていると、ただの私小説というか、

最近のその人の近況を話しているだけにも思えたけれど、

詳しくはわからない。

その人の前には、誰も立ち止まっていなくて、さすがに私も、

長くいつづける勇気がなかったのだ。


もちろん、どうしてこの人は、道に立ってこんなことをしよう、

なんて思いついたんだろう、と思うのも楽しいけれど、

この人が全て終えて帰るとき、どんな表情で、

どんな気持ちで帰るのだろう、というのを想像するのも楽しい。


一体、路上でパフォーマンスする人たちは、

そこで何を得て、何に満足していくのだろうか。


荷物を持ってきてくれた宅急便の人と、

少し会話するだけで緊張してしまうような私では、

きっと、一生感じることのできない、感覚なんだろうなあ・・・・・・。