お腹を抱えて笑える本。 | 初心者同志

お腹を抱えて笑える本。

もし、人に本を薦める場合、「泣ける本」「お腹を抱えて笑える本」

という基準はとても難しい、という昨日の話題 から、


一冊くらいは、自分の本棚にある、【心から笑わずにいられない本】

というのを紹介してみる。



Chagawashou


【 蹴りたい田中 】  (ハヤカワ文庫 JA) / ◇田中 啓文

色々と迷った末に、これ。


と、書いてしまった今でも、本当に迷っている、そんな作品。



最初に説明すると、決して、人に薦めたい本ではない。

どちらかというと、人に薦めてはいけない本なのかも知れない。


でも、最初のインパクトは、とても大きい作品だ。



タイトルは、「蹴りたい田中」。


・・・・・・「蹴りたい背中」、ではありません。


なんと、第130回茶川賞受賞作っ!


・・・・・・芥川賞、ではありません。



と、ここまで書いただけでも分かるように、

中身も全篇パロディーと、駄洒落で費やされた短編小説集。


これを、真面目な文学小説の世界でやっていたら、

もしかしたら、本気で怒られたのかも知れないけれど、

本作品は、どこまでも許容範囲の広い、SFの世界を下敷にしている。


学生時代、筒井康隆作品などをよく読んでいた、という人であれば、

絶対、文句なしに受け入れられるのではないか、と思う。


ちなみに、本書では、


【第130回茶川賞を受賞後、突如消息を絶った伝説の作家・田中啓文】


という設定で書かれている作者、田中啓文は、

実は、数々の受賞暦をもつ、本物の実力派SF作家!


ということで、実はこの作品も、決して、ただのパロディーというわけでなく、

ものすごく質の高い、作者のユーモアなのかも知れない。


と思うのだけど、やっぱり、ただの悪ふざけなのかもしれない。



実際に読んでみて、本当におかしくて楽しい作品、と思えたのであれば、

問題ないのだけど、そう思えなかった場合、あなたは、

本気で、田中の背中を蹴りたくなるかも知れない。


その場合、問題なのは、それがいったい、どんな感情表現を

形にしようとしたからなのか、ということなのだけど、


うーん、少なくとも、愛情、ではないだろうろうなあ・・・・・・。