お腹を抱えて笑える本。
もし、人に本を薦める場合、「泣ける本」と「お腹を抱えて笑える本」
という基準はとても難しい、という昨日の話題 から、
一冊くらいは、自分の本棚にある、【心から笑わずにいられない本】
というのを紹介してみる。
色々と迷った末に、これ。
と、書いてしまった今でも、本当に迷っている、そんな作品。
最初に説明すると、決して、人に薦めたい本ではない。
どちらかというと、人に薦めてはいけない本なのかも知れない。
でも、最初のインパクトは、とても大きい作品だ。
タイトルは、「蹴りたい田中」。
・・・・・・「蹴りたい背中」、ではありません。
なんと、第130回茶川賞受賞作っ!
・・・・・・芥川賞、ではありません。
と、ここまで書いただけでも分かるように、
中身も全篇パロディーと、駄洒落で費やされた短編小説集。
これを、真面目な文学小説の世界でやっていたら、
もしかしたら、本気で怒られたのかも知れないけれど、
本作品は、どこまでも許容範囲の広い、SFの世界を下敷にしている。
学生時代、筒井康隆作品などをよく読んでいた、という人であれば、
絶対、文句なしに受け入れられるのではないか、と思う。
ちなみに、本書では、
【第130回茶川賞を受賞後、突如消息を絶った伝説の作家・田中啓文】
という設定で書かれている作者、田中啓文は、
実は、数々の受賞暦をもつ、本物の実力派SF作家!
ということで、実はこの作品も、決して、ただのパロディーというわけでなく、
ものすごく質の高い、作者のユーモアなのかも知れない。
と思うのだけど、やっぱり、ただの悪ふざけなのかもしれない。
実際に読んでみて、本当におかしくて楽しい作品、と思えたのであれば、
問題ないのだけど、そう思えなかった場合、あなたは、
本気で、田中の背中を蹴りたくなるかも知れない。
その場合、問題なのは、それがいったい、どんな感情表現を
形にしようとしたからなのか、ということなのだけど、
うーん、少なくとも、愛情、ではないだろうろうなあ・・・・・・。
