独り占めしている!
「田舎で生活する人たちは朝が早い」
と言うけれど、そんな人たちよりも、更に、もう少しだけ、私は朝が早い。
目を覚まして、カーテンを開けながら、うーんっ!と、背伸びをしていても、
疲れているときには、もう少し寝ていたいな、と思うこともある。
だけど、1番というのは、やっぱり気持ちがいい、と思う。
着替えて、仕度をして、外に出る。
自転車の鍵を外す。
まだ、星の姿がわずかに残った、太陽も昇りきらない暗い灰色の空。
明かりの灯っていない、真っ暗な影を落としたままの民家。
夜通し働いて、ようやく、その仕事を終えようとしている外灯の、
ぼうっとした明かり。
露出した肌をぴりぴりと麻痺させていく、冷たい空気。
吐きだされる、白い息。
まるで、巨大な洗濯機で洗われたばかりみたいに、
新鮮な匂いがする空気。
朝の、冷たい空気!
新聞配達をする人たちと、牛乳配達をする人たち以外は、
まだ、誰ともすれ違うことがない道。
「独り占めしている!」と思う。
私は予定通りに来たのに、まだ、同僚が一人も来ていないのに気が付く。
「独り占めは寂しいじゃないかあっ!」と思う。
