大さじ1、小さじ3。
一人暮らしをしていて、しかも食事は完全に自炊をしている、
という人が、自分の周りには一人もいない。
そのせいで、ときには自分では常識だと思っていたことが、
まったく通じないことがあったりして、困っている。
たとえば食料品売り場などで、普通の野菜たちと一緒に、
普通に使っていては使い切れないという理由から、一人暮らし用の、
小さくカットされた野菜が並んでいる。
確かにそれは便利なんだけど、買う前からすでに誰かの手で
切断されてしまった野菜というのは、なんだかいやだよねぇ、なんて話をしたら、
「どうして?どんな野菜だって食べるときは小さく砕いて喉を通っていくんだから同じでしょ?」
と言われてしまった。
そりゃあ、食べるときは確かにそうだけど、そうじゃなくて、
調理するときの気持ちがさっ!て私は力説するんだけど、自炊をしない人には、
そこのところがどうしても、理解してもらえない。
私は普段、料理の本を見ることは、ほとんどない。
でも、ちょっと本屋さんで興味があって中を覗いたりすることはある。
そんなとき、これも、かなり不思議だなあ、と思うことがある。
それは調味料の分量。
そもそも、【大さじ2杯】みみたいに書いてある調味料の量を、
本を見ながら作る人は、本当に律儀に守って作ったりするのだろうか。
私はプロの料理人たちが働く調理場で、アルバイトしていたことがあるのだけど、
スプーンを使って調味料を計っているところなんて、一度も見たことがない。
「料理の味は、食べる人の、そのときそのときの体調でも変わるんだよ」
とは、学生時代に皿洗いのアルバイトをしていた料亭で、
親しかった料理長さんの言葉。
うーん、確かに、疲れているときには甘いものを食べたくなるし、
体調を崩したているときには、あまり、味の濃いものは
食べたくなかったりするもんなあ。
そんなとき、自炊で自炊できると、まったく同じ料理を作るときでも、
微妙に自分が、そのときに美味しいと感じる味に
調節してあげられるから、便利だなあ、と思う。
ただ、ときには、こんなこともあったりする。
あるとき、家に遊びにきた一人の友人。
テーブルの上にある、私の昨夜の夕食の残りものを見つけて、
それが偶然、風をひいていた自分用に作った食事だったりしたせいで、
こんなウワサが流れることになる。
「あいつ、自炊できる、なんて自慢するけどさ、一度食べたことあるけど、
あんなのだったら、自炊なんてしないほうが、マシだよなあ」
うっ、それは誤解だーっ!