オランダの給食は、タイタニックも沈むSFの味。
毎日四冊の本を、読むときの場所によって読み分けている私 が、
今まさに読んでいる、その4冊を紹介するシリーズ。
今はこれを読んでます。 (第2回)
【 藤子・F・不二雄SF短編PERFECT版 (1) 】
著 藤子・F・不二雄 2000年発刊
「ドラえもん」を生み出した作者が、子供を卒業した読者に贈る、至高のプレゼント。
藤子・F・不二雄という人は、SFの世界を心から愛している作家だ。
それは、「ドラえもん」という作品だけを見ても明らかなのだけど、
それがもっとよく分かるのは、短編集を読んでみることだと思う。
例えば、本作に収録されている作品の一つ、「ミノタウルスの皿」は、
宇宙で遭難し、なんとか未踏の惑星に辿り着いて生き延びた、
1人の地球人の物語。
そこでは牛のような姿をしたズン類という住人たちがいて、
その「家畜」として飼われている、人と同じ姿をした女性に、
主人公は恋心を抱く。
まるで映画【猿の惑星】のようなお話だけど、
その先につづく展開は映画などよりもっと皮肉に満ちていて、
狂おしいくらい悲しい。
女性は家畜の中でも、愛玩種でも、労働種でもなく、食用種だったのだ。
しかも、今度の大祭で名誉ある一皿に奉げられることがすでに決まっていた!
主人公は、なんとかそれを防ごうと行動するのだけど、
当の本人である女性が、その意味を理解することができないでいる。
地球では、人は食べられないのだと知って、彼女は驚き、言う。
「まあ、もったいない。
私は死んでも、大勢の人の舌を喜ばせることができるわ。
ただ死ぬだけなんて、なんのために生まれてきたのか、わからないじゃない」
【 街道をゆく〈35〉オランダ紀行 】
著 司馬遼太郎 1994年発刊
日本で1番面白い、読む旅行ガイド。
「もし、何ヶ月も休みがとれるなら、絶対ローマに海外旅行に行く!」
と、もうずいぶん前から、私は周囲の人たちに話している。
でも、そこに少し前から「オランダ」も加わるようになったのは、
この本を読んでしまったせい。
写真なんて一つも載っていないのに、
これほど好奇心をかきたててくれる旅行記が、他にあるだろうか。
オランダを観光している話から、とつぜん思わぬ雑学に話が飛んで、
「主題が逸れた。」と真面目に話題を戻したりする、愛嬌の溢れる文章も楽しい。
【 グランド・バンクスの幻影 】
著 アーサー・C・クラーク 1990年発刊
タイタニックのテーマは流れない。本格的なSFの側面から描かれる、沈没したタイタニックの物語。
【2001年宇宙の旅】などで有名な作者が、
タイタニック号を引き揚げるプロジェクトを描いた作品。
つまり、舞台は宇宙ではなく、深海になる。
時代設定は、タイタニック沈没から百周年にあたる、2012年。
つまり、今から4年後の世界。
もし、本当にこのプロジェクトが実行されたなら、実際にこうなるなるだろう
という説得力を発揮しながら、物語は作者らしい、
少し皮肉な着地点を見出して、最後、収束する。
深海という未知の世界で、最高の技術を必要としたとき、
当然のように日本の企業が関わってくることになるという所には、
日本人としてやっぱり、ニヤリとさせられる。
【 なつかしの給食 】
編 アスペクト編集部 1997年発刊
自分で給食を作るための、給食の本。読んでいると、お腹が空きます・・・・・・。
私が自分で料理を作るようになった1番の理由は、給食だったと思っている。
給食に出てくるような料理を、自分で作ってみたかったのだ。
その願望のいくつかは、小学生のときの家庭科の授業で叶った。
普段、料理をつくるときに料理の本を読まない、
(変な癖がつくから、本は料理に慣れてから読んだ方がいいとプロの人に言われた)
そんな私の、たった1つの例外が、この本。
当時の給食の再現レシピが載っているのだけど、
それ以上に面白いのは、その給食を食べたときの当時の思い出が、
それを作っていた栄養士さんのコメント共に、掲載されていること。
この本に掲載されている給食が出されていた時代は
昭和30年代から、40年代の限定。
この時代、まだ、私は生まれてもいないのだけど、
当時食べていた人たちの思い出を読むと、
ああ、みんな苦手なものは同じなんだなあと、思わずおかしくなってしまう。
ちなみに、この本はシリーズで刊行されていて、
昭和40年以降に作られていた給食のレシピが紹介されている
ものも、しっかりと出ている。
自分が食べていた時代のレシピを見るのは、楽しいぞ!



