転校生。
ずっと仲のよかった友達だから、
やっぱり最初に転校するのだと聞かされたときは
ショックだった。
転校先を聞いてみると、全く知らない街。
当時はまだ子供で、自分が知っている世界といえば、
自分の住む町内とその近辺、
そして学校へと通うときに使う通学路が
すべてだったくらいだから、
なんだか、とてつもない遠くに
行ってしまうような気がしたのもかも知れないなあ。
もちろん、私たちは先生に言われるまでもなく、
お別れ会をみんなでやろうと計画した。
ナミダ、ナミダの・・・・・・、とまでは行かなかったけど、
これまで、休み時間や放課後にバカみたいに騒いで、
ときには周りから呆れられたりもした、
私とその友人だったから、
なんだかとても粛々と進められていくそのお別れ会が、
とても寂しかった気がする。
最後、私たちはみんなで、
「また、いつか必ず会おうね」
と言って別れたものの、本当にまた会うためには、
一体、どれくらいの奇跡が必要なんだろう、と
子供ながらに誰もが思っていたはずだ。
だからこそ、それから一ヶ月ほどたったある日、
母親に付き添ってデパートで買い物をしていると、
ふと、前のほうから歩いてくる、
見覚えのある友人の姿っ!
「あれ?何してるんだっ、もう転校していったはずだろーっ」
ひとしきり驚いたあと、
話を聞いてみると、転校していったその友人はいま、
この近くに住んでいるのだという。
なんだよ、けっこう近いじゃないかよぉ・・・・・・。
転校したといっても、実は同じ市内で、
決して気軽に行ける距離ではないとはいえ、
絶対に訪ねていけないほどの
距離でもないとわかって、
私たちは、
「うーん、あのお別れ会て何だったんだろうなあ」
と、大笑いしながら話したのだった。
それから私は、仲のよかった友人たちにも
そのときのことを話して、みんなで何度か、
休日などを利用して転校していったその友達の家に
遊びに行った。
でも、考えてみるとそれも最初の数回だけのことだった。
自転車に乗るくらいしか手段がない子供にとって、
やはりそれは遠い距離だったし、
転校していったその友人にも、時がたてば、
転校していった先に新しい友達ができて、
私たちといつまでも遊んでいるほどの時間はなくなっていった。
そして、それは転校する前の学校で毎日を過ごす、
私たちにもとっても同じ事で、
いつからか私たちは、また疎遠になっていったのだった。
なんとなく、印象深い別れと、出会いと、そしてまた別れだったせいなのか、
ふと忘れ難くて、今も思い出してしまうのだけど、
そのときの友人ともう一度会おうと思ったら、
今度こそ本当に、たくさんの奇跡が必要かも知れないなあ、
と思うのだった。