茄子 スーツケースの渡り鳥。 | 初心者同志

茄子 スーツケースの渡り鳥。

2003年に劇場公開された「茄子 アンダルシアの夏」

後にDVD化がされた際、そのパッケージには、


”あのスタジオ・ジブリ作品の絵を支えた高坂希太郎が監督!!”


とか、


”カンヌ国際映画祭正式、出品作品”

なんて言葉が書かれ、なんとかこの作品をアピールしようという

思いに溢れていたものの、あきらかに

メジャーな作品になりきれずに終わった雰囲気もあって、

当然、続編など作られることは、もうないだろうな、と思っていた。


にも関わらず、見事に再びアニメーション作品として返り咲くことが決定し

発表されることになったのが、この


「茄子 スーツケースの渡り鳥」 だ。



  発表当時の仮タイトルは「茄子2」。 


そもそもこの作品は、最近ドラマにもなった

「セクシーボイスアンドロボ」や、「あたらしい朝」を、

書いている黒田硫黄氏の漫画が原作。


タイトルもそのまま「茄子」で、

茄子に関わるエピソードであれば、場所、時間、ジャンルに

こだわらず詰め込まれている、秀逸な短編集となっている。

全三巻。

特にその中の一編、第一巻に収録された「アンダルシアの夏」は

自転車の専門雑誌で紹介されたこともあって、

自転車好きな人であれば、知る人ぞ知る、自転車漫画だった。


それを原作としてアニメ化された作品は、

原作の濃さをそのまま再現しているとは、確かに言い難い。


けれど、劇場公開がされ、それなりの集客を望むための手段、

芸能人の声優起用や、大幅な原作からの変更、

といったものは最低限に抑え、

その上でかなり苦心している面は窺えるものの、

元の漫画に込められていた、風を切ってただ前へと走っていく

レーサーの空気の濃さを描こうとしているように思える。


たとえば、若い青年とも、かっこいい二枚目ともいえない、

どちらかといえば、冴えない適齢期の男を、

ひたすら自転車レースのシーンの中のみで、

嫉妬したくなるくらい魅力的な人間として

描いていることは、嬉しくてたまらない。


純粋な自転車ファンであれば、

リアルに描かれていくレース描写に喜びながら、

アンリアルなレース展開は不満かも知れないし、

純粋なアニメファンからすれば、宣伝目的で

起用されたと言われても仕方のない

芸能人の演技ぶりが気になり、

鮮やかな色使いと手抜きのない作画で描かれる

スペインの景色に目を奪われるかも知れない。


「茄子 アンダルシアの夏」は、

自転車レースの物語であり、主人公のドラマでもある。

この作品を見ている人が、誰もが、いつのまにか

主人公を応援しているようでなければ、

作品の魅了はゼロになってしまうといっても

言いすぎではないのだけど、そういう意味では、

その心配だけはいらない、魅力の詰まった作品となっている。


そして、期待の続編となる「スーツケースの渡り鳥」は、

原作の茄子の第3巻に収録されているエピソード。


前作が、スペインの、それも三大ツールの中でも最もマイナーと言われる、

ブエルタ・ア・エスパーニャを扱っていたのに対して、

今回はジャパンカップ。


日本のロードレースの最高峰を舞台に、

一体どんな物語が描かれるかは、前作を見た人、

見てはいないものの、興味はあったという人も、ぜひ、必見。


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