アルバイト。
学生時代、私は地方の機関誌のようなものを
配達するアルバイトをしていた。
私が住んでいた地域を中心に、週に二回、
約200部程度を配るというもので、
夕食を食べた後、いつも一人自転車に乗って、
私は配達に出かけていたんだ。
自分の住んでいた地域を中心していたとはいえ、
配達先のほとんどは、面識のない人たちの家。
だったのだけど、いつも同じ曜日、同じ時間に配達に行くせいか、
いつからか、すっかり顔を覚えられていて、
気がつくと、積極的に話しかけてもらえるようにまでなっていた。
たとえば、こんな人がいた。
一人暮らしのある老人だったのだけど、
私が配達にいくと、決まって、
必ず家の外で私のことを待っていてくれて、
「ご苦労様」、と言って受け取ると、
毎回代わりに、なぜか鉛筆を一本くれるのだ。
なぜ、鉛筆で、なぜ、一本ずつだったんだろう、と
そのときは、どうしてもわからなかったのだけど・・・・・・。
今思うと、まだまだ幼い子供が、
日もすっかり沈んだ時間に、一人、
配達のアルバイトをしている姿というのは、
地域に住む大人たちから見れば、
何かを考えさせるものだったのかも知れない。
そういえば、当時配達をしていると、
そんな顔見知りとなった人たちから、かなり頻繁に
「お疲れ様」、などと声をかけられていたのを思い出した。
当時の私はそんなふうに声をかけてもらえるのが嬉しくて、
笑顔で挨拶を返していたのだけど・・・・・・。
うーん、ときには、鈍感であるということが、その人に
幸せをもたらすのかもしれないなあ・・・・・・。