モスマンハンター(その11)
事あるごとに、あれだけ吼えつづけた飛竜の最後は、
わずかに、か細く短い声をあげたのみだった。
私が全体重を乗せ、叩きおろした剣は、
飛竜の大きな翼をななめに裂いて、胸にざっくりとくいこみ、
厚い肉と骨をいくつも引きちぎって、
そのまま地面に突き刺さった。
飛竜はのけぞるように喉を伸ばし、
噴水のように血を吹き上げながら、密林の大地にゆっくりと崩れ落ちた。
私は、自分が勝ったのだという喜びと、
これまでの疲労とが一気に襲ってきて力が抜け、
なんとか大剣を支えにしたものの、
今にも地面に倒れそうだった。
そんな私の足元で、倒れた飛竜がすでに動かなくなった自分の羽に、
まるで頭を乗せるような格好のまま、
私の顔をジッと、見つめ、
やがて、クチバシから、吐息とも、声ともつかない音を吐き出すと、
その眼から輝きがすっと薄れ、閉じられた。
私はそのとき、自分の体の中に渦巻く、
とても悲しい気持ちに気づいて、しばらく動けなかった。
ただ、倒したいと思っていた。
密林の平穏を乱す元凶を。
自分を傷つけた、この飛竜を。
弟の命を奪った、憎い相手を。
でも今、すべてが終わってみると、
私はもう取り戻すことのできない、重大ななにかを、
自分の手で失った気がして、悲しかった。
私は弟のもとに行き、その体を担ぐと、
他の弟たちが待つ、住処に帰った。
日が沈みかけたころ、思っていた通り、わずかに雨が降りはじめた。
私たちは一緒に二番目の弟を埋葬し、
私のその墓の上に、弟たちと作った剣、「護林丸」を突きたてた。
やがて太陽が、遠い山の向こう側へと落ちはじめ、
たちこめる霧をキラキラと輝かせている中で、私たちは誓った。
この景色は、誰のものでもない。
私たちは、私たちのできる限りにおいて、
この景色のために、できることをしていこうと。
だから、弟よ、そこで見ていてほしい。
私たちが、決して道を、逸れることのないように。
たのんだぞ、私たちのヒーロー!
やがて、この密林に、また、いつもの静かな夜が訪れた。
これは、一人のヒーローの物語。
