モスマンハンター(その4) | 初心者同志

モスマンハンター(その4)

目を開けると、心配そうに覗きこむ弟たちの顔が見えた。


「大、丈、夫・・・・・・?」


私は、うなずいた。

とたんに、首のあたりから腰の近くにまで一気に痛みが走って、

私は思わず呻いてしまった。


くそっ、痛いな・・・・・・。


手で、なんとか体を探ると、すでに手当てがされているのがわかった。


「お前たちがやってくれたのか?」


聞くと、弟たち全員がゆっくりと首をふった。


「ア、イ、ルー、が・・・・・・」


私はそれで、おぼろげに、消えかかった意識の中で

見ていた光景を思い出した。


倒れている自分を担ぎ上げ、運んでいる小さな種族たちの姿。



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アイルー。

直接の交流はないものの、彼らもまた、

この密林で平和な生活をつづけてきた、種族の一つだった。


私は痛みをこらえて立ち上がろうとした。

弟たちが、一斉の非難の声を、荒い鼻息と共にあげはじめる。


私をそれを制しながら、近くにあった木の幹を支えにして、

最後には、しぶしぶながら、背中を貸してくれた

弟たちの助けも借りて、ゆっくりと立ってみた。


体の痛みは、思ったほどではなく、

むしろ、立ち上がってみると、心地いい風を全身に受けて、

爽快だった。


だが、しばらく立って、密林の景色を眺めていると、

じょじょに、自分が無事だったという安堵感と共に、

何もできないまま、自分が戦いに敗れたんだ、という悔しさが沸きあがり、

その思いはやがて、全身を満たしていって、

私は息が詰まりそうになった。


それで俯こうとして、弟たちの視線があるのに気づき、

慌てて、顔を逸らそうとして、ふと、気がついたのだ。


あれ。


「おい、私のハンマーはどこにあるんだ?」


弟たちは互いに顔を見合わせて、フルフルと首をふった。


「ここに運ばれてきたときには、もうなかったのか?」


今度は一斉に頷いて、こくこく。


ということは、きっと、あのときだ。

私はすぐに思い当たった。


襲われて倒れたとき、あそこで、落としてきたに違いない。


あれは、私にとって大切なものだった。


いつ、いかなるときも自分の手元に置き、

寝食をずっと共にしてきた私の相棒だ。


元はといえば、密林で倒れていたハンターが持っていたものを、

私が拝借したものではあったが、

私が使うようになってからは、幾度となく私の命を救い、

そして、大勢の密林の仲間たちを救ってきてくれたのだ。


探しにいかなくては。


それで、まだ無理だ、と反対する弟たちをなんとか宥め、

私は、あのなんとか襲われた場所に戻った。


密林は、すでにあのときの戦いの跡をすっかり拭い去り、

元の自然の姿に戻っていた。


弟たちに手伝ってもらいながら、私は辺りを警戒しながら、

早速、自分のハンマーを探しはじめた。


弟たちはここへ来る途中、心配そうだった。

たぶん、ハンマーが、この場にまだ残っているとは限らない、

と思っているのだろう。


だが、私は心配していなかった。

なぜなら、真の勇者の武器とは、自ら、真の持ち主を選ぶものだからだ。


あのハンマーは、私が、これまでかつて、見たことがない、

すばらしい力を秘めたものだった。


あれだけの武器が、私のことを見捨てて、

誰かの持ち主になることなど、決してありえない!


それに、あのハンマーだって、今回の戦いで傷ついているはずた。

私だけじゃない、ハンマーにも手当ては必要だ。


ところが、しばらく探し回ったのに、

ハンマーは、なぜか見つからない。


そのうちに、日か傾きはじめ、

深い草むらに頭を突っ込んでまで探したのだが見つけられず、

ついには遠くの地平線に太陽が沈み始めた。


私はさすがに心配になって、さらに捜索の範囲を広げ、

地面に額がつきそうになるくらい密着してさらに探したのだが、

やっぱり見つからない。


ついには、日が完全に沈んで、夜になってしまった。


弟たちは、しばらくお互いの目を見合って、

言い辛そうにしていたが、やがて口を開いた。


「人、間、の、ハン、ター、少、し、前、こ、こ、に、い、た」


それで私は一気に、あのハンマーを自分が最初に

手に入れた時のことを思い出した。


「じ、じゃあ、つまり、あのハンマーは人間に持っていかれたっていうのか!?」


そんなはずはないっ。

あれは、真の持ち主を選ぶはずだ。


でも、一番の下の弟が、口を開いてさらに言った。


「人、間、何、か、持っ、て、た」


わーん、あれがなかったら、もう戦えないっ!

誰だよ、返してくれ、私の大切な相棒ーっ!!



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オンラインゲーム「MHF」

これは、一人のヒーローの物語。