モスマンハンター(その3) | 初心者同志

モスマンハンター(その3)

私がそれに気づいたのは、

ほんの些細な違和感がきっかけだった。


いつもの見慣れた景色であるハズなのに、

何かが、私の体をつかんで離そうとしなかった。


なんだ?


その場で立ち止まって、私は周りを見回した。



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相変わらずの強い雨が、密林に生える草たちを

まるで打楽器のように叩いて、大きな音をあげている。


切り立った岸壁からは滝のように雨が流れ、

地面に落ちた葉は、ぬかるんだ地表の表面で、

沈んでは浮かび、また沈むという、繰り返しをつづけていた。


わたしは、ふと、深い木々の奥に目を細めた。


なにかが、動いたように思えた。

しかし今は、降りつづけるこの雨のせいで、

密林のすべてが揺れ動いている。


それが、雨のせいなのかどうかを確かめようと

私が一歩、前に歩いたときだった。


突然、大地が激しく揺れたかと思うと、

直後、自分の鼻先数センチ先に、それは迫っていた。



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次の瞬間、私は顔面にものすごい衝撃をくらって後ろにふっとんで、

背中から地面に落下した。


な、なんだ・・・・・・?


その衝撃で、頭の先からつま先まで、

ビリビリと感電でもしたかのように痺れて、

胸が詰まり、息が今にも止まりそうだった。


襲われたのだ、と気がつくのに、

それから、さらに数秒が必要だった。


なんとか立ち上がり、相手を探そうとしたときには、

すでに相手の体がふたたび、私に迫っていた。


なにもできないまま、私は、また石ころのように簡単に吹き飛ばされた。

地面を転がり、泥水を全身に浴びながら、

意識がふいに遠のき、それでも必死に、しがみつくように、

今、目の前で起きている現実を理解しようとした。


立ち上がったのは、ほとんど本能だったと思う。

見えている世界がグラグラと揺れていて、

ついには回りだしていた。


すぐ目の前で、あの怪物が大きな口をあけて、

その喉の奥を真っ赤に燃やしているのが、

かろうじてわかった。


でも、それだけだった。


目の前が真っ白い光に埋め尽くされ、

私は痛みが伝わってくるよりも早く、

全身から、一気に力が抜けていくのを感じた。


怪物が、勝利の雄たけびをあげるように

首をのけぞって吼える姿を、倒れた地面の下から見ていたものの、

やがて、それも二重になり、三重になって、

私の視界からも、意識からも静かに消えていった。


ちくしょう、いてぇよお・・・・・・・。



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オンラインゲーム「MHF」

これは、一人のヒーローの物語。