病院のフシギ。
思いがけないきっかけから、
普段は決して、行かない場所に、いくことになったり、
普段は決して、しないようなことに、
挑戦しなければ、いけなくなったりすると、
大変な思いをするのは当然なんだけど、
それ以上に、新しい発見がいくつもあったりする。
「人生は経験の積み重ねだ」と、誰が言ったのか知らないけど、
うーん、確かにそうなのかも知れない。
幸いにも、大きな病気や怪我とは、まったく縁のない生活をしてきた私は、
これまでに、病院というものに、いったことがほとんどなかった。
友人や、親戚の人たちのお見舞いにいったりしたくらいかな。
だから、久しぶりに行く機会があったりすると、
見るものすべてが珍しくて、ついキョロキョロとしてしまって、
あとになって思うと、そんな私は、きっと挙動不審な、怪しい人間に
見られていたんじゃないか、と反省してしまった。
でも、病院というのは本当に不思議な場所だ。
よく、私は病院のあの雰囲気が苦手、なんていう人がいるけど、
あれって自分でも行ってみると、確かによく理解できる気がする。
たとえ、そこを訪れる目的は、人によって様々で、
お見舞いで来ている人もいれば、
検査してもらう為に来ている人も、いるのだとしても、
基本的に、やっぱり病院という場所の一番の目的は、
病を抱えている人を治療する場所、なんだということ
なのかも知れない。
その場所に流れている、不思議な空気。
静かで、ゆったりとしているのに、緊張した時間。
薬の匂い。
待たされるときの時間の長さ。
飾られた絵、流れる音楽。
健康な人間からすると、どれも少しずつ、自分たちの正常な感覚から、
ズレているように感じてしまう。
でも、治療すべき病を抱えて、ここにいる人たちにとっては、
こういったものこそを、必要としているのかもしれないなぁ、と
私は考えて、一人でなんだか納得してしまったのだった。
よく考えてみれば、病院が、健康な人にとって、
居心地のいい場所である必要なんて、ないんだもんな。
もし、このフシギな雰囲気に、一生慣れないでいられたら、
それこそが、自分が健康な生活を送って来られた、という証なのかも知れない、
と私は思って、自分の場合も、そうなれるかなぁ、と
ふと、真剣に、自分の遠い未来のことまで考えてしまったのだった。