最新の涼しさ。
今は扇風機もない部屋で生活している私 だけど、
実家にある自分の部屋には、クーラーがついていた。
これは当時、はじめて、我が家にクーラーがやってくる、ということになったとき、
数回の家族会議の結果、奇跡的にも、私の部屋が設置場所に選ばれて、
つけられたものだったんだ。
そもそも、どうして、家族が全員で使う、居間のような場所でなく、
私の部屋が選ばれたのかといえば、
どうやら、当時受験を控えていた私に、
せめて、勉強くらいは涼しい場所でやらせてあげよう、
という、親心からだったみたい。
そうとも知らず、当時の私は無邪気に大喜び。
うーん、親のこころ子知らずって、よくいうけど、本当なんだなあ。
ただ、いざクーラーが設置されるとなったときには、
一体どんなものがやって来るのかと、家族も全員、興味津々。
「へえ、結構小さいんだなあ」
「これを壁にかけるんだよね」
「うんうん、時計みたいにね」
「扇風機みたいに、床に設置するスペースがいらないって、いいよなあ」
「なんだか、ちょっと未来的」
「おしゃれだなぁ」
なんて感動していたら、設置にやってきた電気会社の人たちは、
とつぜん、私の部屋の壁に穴を開けはじめたんだよっ。
わっ、なにするんだよっ。
しかも、さらにヘンな太いチューブが出てきて、それが繋げられるし、
部屋の外には、未来的なところなんて欠片もない、巨大な扇風機みたいな箱が、
ドカッと置かれるし!
ああ、理想なんて、所詮は、簡単に壊されるためにあるものなんだな・・・・・・。
それでも、なんとか設置が終わり、家族が見守る中、私はようやくスイッチオン!
とたん、真っ白なクーラーから送り出されてくる、冷たい風に、
私たちも、思わず感動。
おおっ、まるでお店みたいだっ。
これで、もう暑さに苦しめられることはないんだな、としみじみ思った、
それから数日後。
私の部屋のクーラーは、すっかり運行停止したまま、壁の飾りになっていた・・・・・・。
というのも、クーラーの冷たすぎる風が、どうして肌に合わなくて、
私が使うのを、やめてしまったんだ。
だって、涼しいというより、寒いんだもん。
これだったら、扇風機のほうがずっといい。
それで、以前から使っていた扇風機を取り戻して、
再び自分の部屋で使いだした私だったんだけど、
もちろん、その後、家族からは一斉に、ものすごい非難をうけることになったのは、
言うまでもなく・・・・・・。
つくづく、最新機器と呼ばれるものに、私って肌があわないんだなぁ、と思ったのだった。
ふうっ。