夜の体験。
子供のころは、夜になると、たとえ眠くなくても
「もう寝なさい。明日も学校でしょ」
なんて言われて、どうしてもすぐ寝ないといけなくて、私はとてもつまらなかった。
抵抗しても、部屋には押しこまれちゃうし、電気は強制的に切られちゃうしさ。
私の意志なんて全く関係なくて、夜はただ、眠る時間でしかなかった。
次の日が休日だろうと、
早起きしないといけない理由が何もないような日であろうと、
ほんのわずかな夜更かしさえ、私は許してもらえなかった。
さらに外出するとなると、地元のお祭りがあって、夜店を見に行くとか、
花火大会があってみんなで出かけるとか、
そんな特別なことがない限りは、絶対に許可されないんだ。
私は夜が嫌いだった。
太陽が沈みはじめるのを見ると、
「ああ、今から時間が早送りになって、すぐ明日にならないかなあ」
なんて、いつも思っていた。
朝がいつも待ち遠しかった。
それから少し大人になって、今は夜も悪くないな、と思っている。
きっと、日が昇っている時間と同じくらい、夜の間も何かしていることが多くなったからだ。
子供のころの私には、夜の思い出なんて、なに一つなかったのに、
今の私は、明るいあいだの時間と、夜のあいだの時間の両方に、
同じくらいの思い出ができている。
もう、夜は嫌いな時間じゃなくなった。
でも、日が沈んで辺り闇に満ち、間違いなく夜の時間がやってきたあとに、
一人、外に出ていると、何故なんだろう。
なんだか今でも、ちょっだけドキドキして、落ち着かない気持になるんだ。
それはきっと、小さいころの記憶が、そうさせているのかも知れない。
ただ、夜更かしをしても、誰もそれを咎める人がいなくなったのは嬉しいんだけど、
実は、一つだけ困っていることがある。
友人たちと、遅くまで楽しく話をしていても、ついつい、欠伸が止まらなくなっちゃうんだ。
まぶたは、自分の意思に反して、どんどん落ちてきちゃうしさ。
それで、大抵はいつも、ものすごい勢いで友人に怒られてしまう。
「そんなに、みんなと一緒にいるのが退屈なのか?」
「もう、おまえとはぜったい一緒に過ごさないからな!」
退屈なわけないじゃないかぁ、うっ、うっ、う・・・・・・。
どうやら、
ずっと、早い時間に寝ていた習慣だけは、今も完全に断ちきれてないようだ。