怖いもの知らず。 | 初心者同志

怖いもの知らず。

子供の頃、将来は何になりたいか、という質問に

「警察官になりたい」

「野球選手」

と答える友達を横目に、私は、


「自転車のタイヤのパンクを修理する人になりたい」


とよく答えていた。

最近はあまりすることがなくなったのだけど、

私はこれがすごく得意だっだからだ。


子供のころ、パンクした自転車を修理してもらいにお店に持っていき

直しているところを見て、その手際に私は惚れ惚れとしてしまった。

うーん、鮮やか!

車輪部分からゴムチューブだけをはがして、

水の中にくぐらせて穴の開いている箇所を見つけるところなんて、

ウナギをさばく職人さんみたい。

ほとんど迷うそぶりもなく、ほんの五分ほどで直しちゃう。


あまりに見事なんで、当時の私はその場でお店の人に弟子入り志願!

次からは自分で修理できるようになりたいから、と

かなり強引に、その場で一からやり方を教わってしまったのだった。


でも、よく考えたらこれって、お店のお客を確実に一人減らしている行為だよなぁ。

心の広い店長さんだったからよかったけど、子供のころの私も

けっこうな怖いもの知らずだ。

思い出しはじめると、実はこんなことって一つや二つじゃ済まないもんな。

恐ろしいから自分で自分に忘れたフリをしているんだけどさ。


とにかく、そのおかけで、それ以降は全部自分で修理できるようになって、

しかも、やるたびにどんどん手際がよくなっていくものだから、

自分でもタイヤを修理するのがどんどん好きになっていったのだった。


最近では、将来の夢はなに?と聞かれると、

サラリーマン、とか、お金持ち、なんて夢のない職業を口にする子供が増えた、

なんて言われたりもするけれど


私の「タイヤ修理」の場合は、はたしてどうだったんだろう、と

ちょっと考え込んでしまった。

これも、夢がないって言われてしまうのかなあ。


それで、気になってしまって友人たちに第三者としての

冷静な意見を聞いてみようと思ったんだけど、すぐに後悔することになった。


「夢がないっていう以前に、想像力が乏しいよ」


ぐっ。


「なにかさぁ、まるで、戦後すぐの子供が語る夢みたいだよな」


ぐっ、ぐっ・・・・・・。


「実現しなくてよかったな。世の中には、実現しなくていい夢もあるんだな」


ぐっ、ぐっ、ぐう~~~~!

言い返したいけど、全部その通りなだけに一つも言い返せんっ!


くっそ、子供なんだからさ、少しは大目に見てあげてくれてもいいじゃないかよぉ!