こんにちは。

社会人ホルン吹きで、アレクサンダー・テクニーク教師養成課程在籍中のなべけんです。

 

これまで何回かご紹介してきた、アレクサンダー・テクニークの基本原理である「頭と脊椎の関係」。

レッスンの場では「頭が動いて、身体全部がついていく」という言葉でガイドされることが多いです。

【参考記事:軸骨格とアレクサンダー・テクニークの基本について(2019年11月)

今回は、今までとはまた別の目線から、この「頭と脊椎の関係」について見ていこうと思います。

 

○おさらい〜「頭が動いて、身体全部がついていく」〜

※トップジョイントは大体耳の穴の高さ辺り

 

繰り返しのご紹介になりますが、F.M.アレクサンダーが発見した「頭が脊椎の上で自由に動けることが、体のあらゆる部分が機能的に動ける状態を生み出し、人間に本来備わった機能を呼び起こすことができるようになる」という体の機能をプライマリー・コントロール(初源的調整作用)と呼び、アレクサンダー・テクニークではこの原理をとても大切にしています。

 

どんなパフォーマンスにおいても、望む機能を身体が発揮するためにまず必要になること。

それが「頭が動いて、身体全部がついていく」です。

 

これも以前の記事で書いていますが、頭と脊椎はトップジョイント(後頭部と脊椎の一番上の骨が作る関節)が繋ぎ目になっています。「頭が動く」というのは、骨格的にはトップジョイントにおいて自由に動けている状態、と見ることができます。

 

○身体全部ついていく・・・って何?

頭が動ける状態というのはなんとなく分かったとして、じゃあ「身体全部がそれについていく」とはどういうことでしょう。

 

とださんによるイラストACからのイラスト

 

これが全てではありませんが、一つヒントになりそうなことをご紹介します。

「頭と脊椎の関係」というからには、脊椎の動きも身体の機能に大きな影響を持ちます。

 

脊椎は上のイラストの通り、全部で26個の骨からできています。

決して1本の棒ではなく、一つ一つがそれぞれ動けることによって、全体として大きな動きもできるようになっているわけですね。

 

試しに、「呼吸」で実験してみましょう。

呼吸というのも立派な身体のパフォーマンスです。

 

【実験】

・頭が脊椎の上で自由に動けることを思ってみる。

 

・脊椎はたくさんの骨が連なってできていて、一つ一つに動きがある

(頚椎は前にカーブしていて、反ったり俯いたり左右向いたりと結構自由)

(胸椎は後ろにカーブ、あんまり動かないけど少し反ったりすることはできる)

(腰椎は前カーブしていて、回らないけど反ったりするのは得意)

 

・鼻からゆっくり息を吸ってみて、脊椎がどのような動きをするかを観察してみる。

 

・口からゆっくり息を吐いてみて、脊椎がどのような動きをするかを観察してみる。

 

・息の入り方・出ていき方に何か気づくことはあるか、観察してみる。

 

頭が自由でいて、かつ脊椎が呼吸に合わせて自在に動いている状態が、自分の中でどのように味わえるか、ゆっくりと観察・実験してみてください。

これも一つの「頭が動けて、それに身体がついていっている」という状態なのだと思います。

 

○まずは試してみてください

これだけ頭脊椎頭脊椎と言われると「そんなに出来てないとダメなのか」みたいに思ってしまうこともあるかもしれませんが、出来てないとダメなんてことは決してありません。

本番とか、プレッシャーのかかる場面に直面すると、結構忘れてしまうものです。

自分が望むパフォーマンスのために、より自分の持つ機能を発揮するための方法なんだな、くらいの気持ちで、まずは気軽に実験してみることをオススメします。


呼吸だけじゃなくて、何かを持ち上げるとか、階段を上がるとか、日常の何てことない動作にもこの【頭脊椎】を「モノは試しに」取り入れてみて、どういう変化とか、違いを感じられるか、とりあえず楽しんでみると良いです。少なくとも害はなさそうですし。

 

それで、色々と実験して、どういう効果が得られるのかを繰り返し味わっているうちに、自分なりに「頭が動けて身体が全部ついていっている」状態がパフォーマンスに役立つぞ、という実感が得られたら、このプランが自分の中で信頼できるものになっているのだと思っています。

 

〜おわり〜