こんにちは。

新年度になって1か月、いかがお過ごしでしょうか。

 

世間の状況は相変わらずというか、より酷くなる一方というか。

我慢の限界に来ているような状況も、そこかしこで目にするようになりました。

 

楽しさや喜びが失われるというのは、恐ろしいことです。本来世の中に不要なものなんてないのだと思います。ただ、現実に苦しんでいる人、日々戦っている人がいるのも事実であり、お上がどうこうとかそういうことではなく、彼らの負担が少しでも軽くなるのであれば、今一度気を引き締めることも必要なのだとも思います。

 

何が正解なのかちっともわからない毎日ですが、それでも自分を見つめ、学ぶことだけは続けていこうと日々思い直しています。

 

○頭と脊椎の関係

繰り返しの登場になりますが、まずはアレクサンダー・テクニークの基本原理である頭と脊椎の関係、すなわちプライマリー・コントロールについて今一度おさらいしましょう。

 

プライマリー・コントロール(初源的調整作用)は、「頭が脊椎の上で自由に動けることが、体のあらゆる部分が機能的に動ける状態を生み出し、人間に本来備わった機能を呼び起こすことができるようになる」という原理です。

 

頭=頭蓋骨はだいたい耳の穴の高さのあたりで、脊椎の一番上の骨(環椎)と出会います。

この頭蓋骨と環椎との出会う関節のことを「環椎後頭関節」または「トップジョイント」と呼んだりします。

 

(横から見た骨格模型)

 

ただ、いくら骨格上で「こうなっている」と言われても、残念ながら自分自身の頭と脊椎を客観的に確かめることは不可能です。当たり前ですが・・・。

なので、「頭が脊椎の上で自由に」とサラッと言われても、なかなかそんなこと信じられないというのが、ある種正直な感想かと思います。

 

そもそも、F.M.アレクサンダーがこの原理を発見したのも、経験と観察に基づいた「きっとこうに違いない」という気づきであり、その後いろいろな研究によって医学的な根拠が見つかっているという話も聞いたことはありますが、理論的に説明せよと言われてもなかなか難しい側面があります。

 

一方で、事実として頭・脊椎の関係を踏まえると全身の連動性が増したりパフォーマンスが改善したりと、効果そのものはあることは経験則的に知られているので、「頭が自由に動いていれば、自分にとってなんかいいことがある」くらいの認識は、アレクサンダー・テクニークのレッスンを経験した人にとっては共通のものとして受け止められているのだと思います。

 

○教わる上でも、教える上でも

アレクサンダー・テクニークのレッスンでは、教師から「頭と脊椎の関係」についてのガイドを受けることになります。教師によって使う言葉は様々ですが、(少なくとも私が習った先生方に関しては)生徒本人の頭と脊椎の関係を呼び起こすよう、丁寧かつ優しくガイドしていきます。

 

そして、それはガイドしている教師の側もまた同じ。

教師自身が自分の「頭と脊椎の関係」を信じ、自分自身を信じていることが、生徒にとっても非常に重要なのです。

 

先日、セルフ・クエスト・ラボの教師養成クラスで、自分としてはほぼ初めてレッスンの練習をやってみました。座っている状態から立ち上がるという、とても簡単な動作についてガイドする練習だったのですが、初めはなかなかどういう風にしていいかわかりませんでした。

そこで、まず自分の頭と脊椎の関係を信頼し、自分自身が調整された状態で相手の動きについていくことを思い直してみました。

相手をどうこうしようということではなく、相手の可能性に寄り添って、そこに自分のできることを添えていくようなイメージでガイドすると、そこそこ上手く行ったように感じました。

 

教える・教わるというと、つい知識を授けるとか、特定の動作を身に付けさせるといったことに意識が向いてしまいますが、アレクサンダーのレッスンはそういったものとは相当異なる形で進んでいきます。

教える側が、まず自分自身の頭と脊椎の関係を信じていること。そして、教える相手にも自分と全く同じ関係が備わっていて、それが発揮できる可能性を持っているということを信じていること。その可能性に寄り添うことが、アレクサンダーのレッスンなんだと改めて思いました。

 

レッスンの練習をしたことで、私自身が自分の頭と脊椎の関係をどのくらい信じているのか、またこれからどういうふうに信じていくのか、少しわかったような気がしました。道のりはまだまだ長いですが、じっくりと自分自身と「教える」ということについて、これからも探究していきます。

 

〜以上〜