記憶に残る審判廷での学校の先生、何人かいらっしゃいます。
ある審判では、教頭→生活指導→担任の順番で発言があったんですが、教頭先生も生活指導担当も
「もはや少年院やむなし」
の意見を述べたところ、担任の先生だけ
「それでもわたしは保護観察をお願いしたいです」
と発言されたことがありました。
先生3人の様子からして、担任の発言はサプライズだったようです。
こっちも内心「珍しいな」と思いました。
その後、少年が学校でどうなったかは、わからないんですけど、担任の先生の思いは少年に届いたのではないでしょうか。
ある審判では、担任である中年の女性教師だけみえました。
発言を促したところ、相当に狼狽していて
「な、なんと申し上げていいのか…」
と絶句しています。少年にこの場でお話したいことはありませんか?と水を向けると
「あなたがこんなことをするなんて…」
と小さい声で呟いていました。
この先生、1か月ぐらいして、違う少年の審判にも来ました。
恐縮している具合は前回と一緒です。
すると、さらに1か月後、また違う少年の審判にも来たんです。
やはり、うつむいて
「どうしてこんなことをしたの?」
と少年に向かって呟き
「き、教師としてどう取り組めばいいのか…」
と審判廷で悩まれています。
さすがに、これは、珍しい現象でした。
3人の少年の事件は、まったく別事件で、関連していませんでした。
学校からみれば、その先生のクラスの生徒から家裁で審判を受ける少年が、数か月のうちに立て続けに3人でたということになります。
同じ学校から…ならば、まだわかるんですが、同じ学校から、同じ学年で、同じクラス…
「この先生、学校に帰りにくいだろうなぁ…」
思わず先生の学校での様子を想像してしまいました。
学校での、その担任の先生のポジション…職員室の雰囲気…ほかの先生からはなんて言われているだろう??
審判が終わって、部屋に戻ってから、内線電話をとって書記官室にかけました。
「今の先生、もう帰られた?」
ちょっとその先生と話そうと思ったのです。
保護観察で少年を戻したので、今後の少年との関わり合いについて、審判官の感想でもお伝えして役立ててもらおうかと…
だって…あの先生、困ってる…
書記官からは、「あの先生、審判が終わって、少年や親とは顔を合わさずに帰っちゃいました」という素っ気ない返事が返ってきました。
そうか…
そりゃそうか…
うーーーむ…