年度末です…


ただでさえ仕事がたまって気が重くなるというのに、


地震で被災した地域のニュースをみて心を痛め…


国民的コメディアンが亡くなったニュースをきいて涙する…




なんてゆーか、気がパッと晴れることないかなぁ~



ついつい、仕事の手を休めて、職場のみんなでお花見でも企画するかなんて思ったりします。




”大変な仕事なので、精神的ストレスもスゴイんでしょう…”


そういったことを言われることもあります。


でも、仕事中にリラックスすることもあるんですよ。冗談も言います。




そのへんの空気は、裁判官室によって違うかも知れません。たぶん、かなり違う。


同じ建物の中にありながら、部屋のメンバーによって、雰囲気違うんです。




でも、異動期だと、どこも雰囲気が落ち着かないかな。





※   ※   ※   ※



「おいジェイ…いま暇?」


「あ、××部の○○さん…どうもです」


「異動だって?」


「はい」


「あと残り1か月ちょい」


「そうっすね」


「今日も新件きているらしいよ」


「なんでそんなこと知っているんですか」


「さっき書記官室でなんか騒いでたよ」


「騒いでた?」


「なんか君のところに、いわくつきの事件が係属するらしいよ」


と、話しているところに、書記官が記録を持って「新件です」と言いながら入ってきました。


「ほらあ…なんかあるぞ」


嫌な予感がしました。


書記官が、机の前に来て「あのう」と言いながら、記録を1冊出してきました。


「ジェイさん…」


「新件?」


「ええ…あのう」


××部の○○さんは「異動前に限って、やっかいなのが来るんだよな~」と言いながら部屋を出て行きます。


「やっかいなの? 否認?」と書記官に尋ねました。


「いえ、自白です。」


記録を開きました。


「傷害?? ふうん…あ、少年は女の子なんだ…少年院をでたばかり…」


記録の最初の数頁をパラパラめくり、指が止まりました。





   まてよ…







記録の表紙を見直します。



少年の氏名        ○○れいか














愕然として、書記官を見ました。


「これって…わざと?」


「いえ、通常の配点順序です」


「 … 」







さっき、書記官室で騒いでたって…  (-""-;)




と、思ったら、さっきの××部の○○裁判官がなぜか戻ってきました。



「よおっ! ジェイ君!」


「 … 」


「どうしたんだ! やっぱりいわくつきの大事件なのかっ!」


「 …いえ 」


「そうかぁ~よかったじゃないか。たいしたことなくて。まーなんていうか、3度目ともなりゃ、いくら苦手な子でも慣れるよなっ!」


「やっぱし、どんな新件か知ってたんじゃないっすか! まったくもー!」


「うれしいだろう?」


「 … 」


××部の○○裁判官は、わたしの肩をぽんと叩くと、「いいなぁ異動直前まで刺激的な仕事ができて」と言いながら、また部屋を出て行きました。


書記官も、素早くあとずさりして出て行きます。




はぁ…


ため息が出ました。


そして、あらためて記録を開きました。