ipad用絵本出します。
ipad用絵本販売決定!
あなたの私。私のあなた。
犬との関係を描いた絵本。
10月12日よりAAPから
フランス、英語でも販売します。
なかなか今迄にないタッチですが
結構気に入ってます。
みなさま是非!
あなたの私。私のあなた。
犬との関係を描いた絵本。
10月12日よりAAPから
フランス、英語でも販売します。
なかなか今迄にないタッチですが
結構気に入ってます。
みなさま是非!
9/8事件 初公開噂の8年暦
「クガツヨウカ ゴゴ ハチジハップン イッケンデス」

プシューーー
薄い蒸気のような機械音で小平に着いた西武線の扉は開く。
行き先の丁度分かれ道となる小平に本川越行きの列車が到着。
乗り継ぎを急ぐ乗客の往来で、車内は一時的に騒がしくはなったが、
駅を出発する頃には乗り込んだ乗客はほぼ席に座れ、もとの静かな車両に戻った。
そして相変わらず私の手にはティッシュにくるまれた5千円が握られ、
老夫婦は私を細く笑いながら見続けた。
「いえ、やはり頂けません。」
一度は開封した五千円札を丁寧にティッシュに入れ直し、老夫婦に軽く頭を下げ
ながら御返しした。
「・・・・」
席を譲ったお礼と言って、五千円はありえない。
人間として、もらってはいけない。男として受け入れられない。
丁度1年前に同じように席を譲って千円をもらった経験のある私。
不思議な巡り合わせというのはあるモノだ。またしても、老夫婦。
別に、お金をもらいたくて譲っているわけではない。昨年のようにのっぴきなら
ない事情があるわけでもない。
しかも、今回は5千円だなんて、ありえない。
今回に限っては、絶対に頂けない。
何度も丁重に御断りしする私。
「私たち、使い道ほんとうに有りませんから・・・」
返却の申し出になかなか首を立てに振らない老父。
「若い人に使っていただいた方がどんなにこのお金も喜ぶ事か・・・」
目をつむりながら両手の平を左右にふるわせながらオーバーに断る老婆。
「次は~萩山~ 萩山~ 」
車掌のアナウンスで萩山駅が伝えられる
一向に引かない老夫婦。それでも貰う訳にはいかない。
ふたりが持っていたスーパーの袋にティッシュの五千円を無理矢理入れ込んで席
を立ち去ろうとすると
「わかりました・・ほんとうに有り難う・・・」
と言って、今度はあっさり返却を受け入れ、まだ座っててください・・と
言わんばかりに立ち去ろうとする私の手を引っ張り、もとの席に押し戻す。
「おい、あれを出してあげなさい・・・」
嫌に命令口調で老婆に指示を出すと、その老婆はスーパーの袋を中身も見ずにご
そごそと何かを探し、奥の方から名刺大の何やら紙を取り出した。
その紙を老父に渡すと、ふたりは満面の笑みを浮かべ、その小さく畳まれた紙を
私に先ほどの様に差し出した。
見た目的にはモノクロのコピー用紙のようだったので、とりあえず受け取ってみた。
名刺サイズのコピー用紙は蛇腹に丁寧に折られており、広げるとなにやら小さい
数字が所狭しと並んでいる。
意味がわからない。
「8ですから・・・はち。」
もう一度、その紙に眼をやる。
数字が規則正しく並び・・・・
あ、カレンダー!?
そう、所狭しと埋められた数字はカレンダー!!
しかも、8年分のカレンダー。
2005年から2013年までの8年分の暦。
五千円の後だっただけに、妙に気になった、その素材と、意味・・・
質感はただのコピー用紙。変わった紙ではない。
親指と人差し指の間にはさみ、双方の指の平で丁寧に質感をもう一度、確かめな
がら、老夫婦に眼をやると、
やはり眼を細くして薄い笑いを浮かべながら
こちらを見続けている。
「何なんですか?これは?」
と言いたいのはやまやまだったが、不思議と言葉が
出ず、その薄い笑いに釣られて私も笑った。
「ね、おもしろいでしょ。8年分ですよ・・ 」
老婆がそんな私の言葉を察してか言葉を発する
「私たちには、きっと無縁でしょうがね・・・はははは」
老父が話に乗っかり、ふたりしてコトコトコトと眼を合わせるや、笑い出した。
電車は萩山の駅に到着
またまた乾いた音を立て、扉が開いた。
「じゃ、私たちはココで・・ ほんとうにありがとうございました」
席を立ち、私に深々と頭を下げ雨上がりで湿った空気の萩山のホームに老夫婦は
降りて行く。
「あ、ちょっと すいません・・・これ・・ 」
ゆっくりと肩を寄せ合い老夫婦はホームの階段のあるほうへゆっくり歩いて行
く。その後ろ姿に声をかける私。
私の声が届いたようで、再びこちらを振り返ると
老婆がゆっくりと開いた左手に右手で作った三本の指を合わせ、肩を丸めて、ま
たうっすらと笑みを浮かべる。
声には出さずに口を動かし
「8ですから 八」
そう言った・・・
連結の関係で、普段より長く停まる列車。
ホームの湿った空気が冷房の効いた車内に生温い霧の様に入り込み、私をつつむ。
小平から乗り合わせた学生の耳にはめられたヘッドホンからシンシンとリズムを
刻む音
老婆達は小さくなり、ホームの青白い電灯の光に包まれ消えて行った。
知人に電話をかけ、この不思議な事件を伝える。
かけるやいなやキャッチが入り、そのまま留守電に切り替わった。
「クガツヨウカ ゴゴ ハチジハップン イッケンデス」
「あ、パロル舎の中●ですが、先日八月まで滞っておりました印税の8●万、本日振り込みさせていただきましたので、ご確認下さい~」
そして私の手には 八年分のカレンダーが残った。
福井に台風が上陸したとの報道。
本日9/8 あの時を思い出す。



プシューーー
薄い蒸気のような機械音で小平に着いた西武線の扉は開く。
行き先の丁度分かれ道となる小平に本川越行きの列車が到着。
乗り継ぎを急ぐ乗客の往来で、車内は一時的に騒がしくはなったが、
駅を出発する頃には乗り込んだ乗客はほぼ席に座れ、もとの静かな車両に戻った。
そして相変わらず私の手にはティッシュにくるまれた5千円が握られ、
老夫婦は私を細く笑いながら見続けた。
「いえ、やはり頂けません。」
一度は開封した五千円札を丁寧にティッシュに入れ直し、老夫婦に軽く頭を下げ
ながら御返しした。
「・・・・」
席を譲ったお礼と言って、五千円はありえない。
人間として、もらってはいけない。男として受け入れられない。
丁度1年前に同じように席を譲って千円をもらった経験のある私。
不思議な巡り合わせというのはあるモノだ。またしても、老夫婦。
別に、お金をもらいたくて譲っているわけではない。昨年のようにのっぴきなら
ない事情があるわけでもない。
しかも、今回は5千円だなんて、ありえない。
今回に限っては、絶対に頂けない。
何度も丁重に御断りしする私。
「私たち、使い道ほんとうに有りませんから・・・」
返却の申し出になかなか首を立てに振らない老父。
「若い人に使っていただいた方がどんなにこのお金も喜ぶ事か・・・」
目をつむりながら両手の平を左右にふるわせながらオーバーに断る老婆。
「次は~萩山~ 萩山~ 」
車掌のアナウンスで萩山駅が伝えられる
一向に引かない老夫婦。それでも貰う訳にはいかない。
ふたりが持っていたスーパーの袋にティッシュの五千円を無理矢理入れ込んで席
を立ち去ろうとすると
「わかりました・・ほんとうに有り難う・・・」
と言って、今度はあっさり返却を受け入れ、まだ座っててください・・と
言わんばかりに立ち去ろうとする私の手を引っ張り、もとの席に押し戻す。
「おい、あれを出してあげなさい・・・」
嫌に命令口調で老婆に指示を出すと、その老婆はスーパーの袋を中身も見ずにご
そごそと何かを探し、奥の方から名刺大の何やら紙を取り出した。
その紙を老父に渡すと、ふたりは満面の笑みを浮かべ、その小さく畳まれた紙を
私に先ほどの様に差し出した。
見た目的にはモノクロのコピー用紙のようだったので、とりあえず受け取ってみた。
名刺サイズのコピー用紙は蛇腹に丁寧に折られており、広げるとなにやら小さい
数字が所狭しと並んでいる。
意味がわからない。
「8ですから・・・はち。」
もう一度、その紙に眼をやる。
数字が規則正しく並び・・・・
あ、カレンダー!?
そう、所狭しと埋められた数字はカレンダー!!
しかも、8年分のカレンダー。
2005年から2013年までの8年分の暦。
五千円の後だっただけに、妙に気になった、その素材と、意味・・・
質感はただのコピー用紙。変わった紙ではない。
親指と人差し指の間にはさみ、双方の指の平で丁寧に質感をもう一度、確かめな
がら、老夫婦に眼をやると、
やはり眼を細くして薄い笑いを浮かべながら
こちらを見続けている。
「何なんですか?これは?」
と言いたいのはやまやまだったが、不思議と言葉が
出ず、その薄い笑いに釣られて私も笑った。
「ね、おもしろいでしょ。8年分ですよ・・ 」
老婆がそんな私の言葉を察してか言葉を発する
「私たちには、きっと無縁でしょうがね・・・はははは」
老父が話に乗っかり、ふたりしてコトコトコトと眼を合わせるや、笑い出した。
電車は萩山の駅に到着
またまた乾いた音を立て、扉が開いた。
「じゃ、私たちはココで・・ ほんとうにありがとうございました」
席を立ち、私に深々と頭を下げ雨上がりで湿った空気の萩山のホームに老夫婦は
降りて行く。
「あ、ちょっと すいません・・・これ・・ 」
ゆっくりと肩を寄せ合い老夫婦はホームの階段のあるほうへゆっくり歩いて行
く。その後ろ姿に声をかける私。
私の声が届いたようで、再びこちらを振り返ると
老婆がゆっくりと開いた左手に右手で作った三本の指を合わせ、肩を丸めて、ま
たうっすらと笑みを浮かべる。
声には出さずに口を動かし
「8ですから 八」
そう言った・・・
連結の関係で、普段より長く停まる列車。
ホームの湿った空気が冷房の効いた車内に生温い霧の様に入り込み、私をつつむ。
小平から乗り合わせた学生の耳にはめられたヘッドホンからシンシンとリズムを
刻む音
老婆達は小さくなり、ホームの青白い電灯の光に包まれ消えて行った。
知人に電話をかけ、この不思議な事件を伝える。
かけるやいなやキャッチが入り、そのまま留守電に切り替わった。
「クガツヨウカ ゴゴ ハチジハップン イッケンデス」
「あ、パロル舎の中●ですが、先日八月まで滞っておりました印税の8●万、本日振り込みさせていただきましたので、ご確認下さい~」
そして私の手には 八年分のカレンダーが残った。
福井に台風が上陸したとの報道。
本日9/8 あの時を思い出す。









