トーベ・ヤンソン版のムーミンによく似た未婚の我が姉が、春に小学生に成る我が息子と戯れている。
仕事帰りに実家に寄り、遅れつつも新年の挨拶を済ませたのが昨夜の事。

気が付けば今日、お正月なるものは既に過ぎ去っており、巷では仕事始め何て声もちらほらと聞く。

惰性で列んだ朝礼が実は年賀式だと判ったのは、有り難過ぎて凡人には理解も興味も持ち得ない会長付きの室長の長いお話が90分を過ぎた頃だった。

膝に水が溜まり多少毒気の抜けた社長と大晦日にノロウィルスに感染して精気の抜けた常務の二人が弱音を吐いた為、恒例であった神田明神詣では中止となった。

格式も霊験もあろうはずの無いホームセンターで5千円購入した神棚キットを事務所で組み立てる。

意外や意外、気が付くと何やら神妙な心持ちになり始め、コンビニで買った『白鶴○』さえも然るべく御神酒(おみき)に見えてくる摩訶不思議。

神棚キット付属の『神拝詞(しんぱいのことば)』のコピーを全員に配りしばし黙読。
やはり日本人の根底に流るるものであるのか、皆一様に神妙な面持ち。


禍(まが)事、罪、穢(けがれ)を禊(みそ)ぎ祓(はら)い清め給(たま)い

健かに栄えしめ給えと恐(かしこ)み恐み白(もう)す。


祓い給え

清め給え

守り給え

幸え給え



祈りとは斯くも浄きものかと思い知る。


『全ての人に幸福を』


そこには雑念や煩悩など一片たりとも有ろうはずが無かった。



『短大の時に…巫女さんのバイトをしてたんです』


私の隣で三十路の美人妻である総務の四橋さんがそっと囁いた。

『短大』『巫女』二つの単語にアドレナリンが反応する。

己に『清め給え』と心で唱えつつ、もはやムーミンの弟とは呼べず狩猟民族ばりに変化した鋭い眼光を封じるべくしっかりと瞼を閉じる。



『あれ薄くて寒いんですよね…あんまり着てないんで』


『何が薄くて何を着ていないのでございましょうか』



幸いにも皆の拍手(かしわで)が質問の詞を掻き消す。


新年早々

神の息吹(妄想)充填完了。



祓い、浄め、そして許し給えにございましょう(^^ゞ