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ここまで誰かに圧倒され、また鮮烈な印象を覚えるのは物ごころつくころにリサに拾われた時だけである。そしてジェイクは理解した。自分は今、人生の分岐点にきているのだと。
 ジェイクはただの一言も発さず、その場に立っていた。妙に足が重く、痺れて感じるのはきっと気のせいではなかっただろう。それが証拠に、ミリアザールもやや顔が青白かった。それでも年長者ゆえか、ミリアザールは必至で言葉を発していた。
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「シュテルヴェーゼ様、貴方様に見てほしい人物を連れてまいりました」

 ジェイクはミリアザールが恭しく礼をする場面を初めて見た。アルネリアの最高教主でもある彼女が頭を下げる相手など、社会的には皆無のはずである。またミリアザールという人物自体も、歩く自信家だとジェイクは思っていたのだが。ミリアザールはためらいもなく頭を下げ、そしてシュテルヴェーゼもそれをさも当然のごとく受け止めていた。
 ジェイクにとって未知数の人物、シュテルヴェーゼがゆっくりと言葉を発する。


「見るのだけならばもう見ておる。後は本人の意思次第よな?」
「は、いかようにでも」
「話が見えない。何のことだよ?」

 ジェイクはたまりかねて言葉を発した。ミリアザールが頭を下げるような状況に、我慢が出来なかったのだ。そして不気味なシュテルヴェーゼの圧力にも、耐え難かった。
 シュテルヴェーゼはジェイクを見据えると、ただじっと一直線に見据えながら声を発した。

「童よ、妾の質問に答えよ。口応えは許さぬ」
「」

 ジェイクは黙って聞いていた。余計なひと言は無用と、本能で察したのである。

「童、貴様の人生において何を望む?」ブランド 財布
「最強の騎士となること」
「何のために?」
「大切な人を守るために!」

 ジェイクの声は力強かった。シュテルヴェーゼの持つ圧力をはねのけるために出したような声でもある。その返事を聞いて、シュテルヴェーゼは表情を変えず、そしてミリアザールは少し悲しそうな表情になった。
 やがてシュテルヴェーゼは一つため息をつくと、ジェイクに向けて語りだした。

「童よ、最強になると言うは簡単なことぞ。どれほどの覚悟で臨むのか」
「俺は大陸最強の騎士になるためなら何でもするつもりだ。どんな苦境や試練にも耐えて見せる!」
「よかろう。しかとその言葉、忘れるな。今から貴様を試す。命を懸ける覚悟はあるか?」
「当然!」

 ジェイクは何の躊躇いもなく言い放った。最強の騎士という言葉を口にするたび、力が湧く気がする。そんなジェイクをミリアザールは少し悲しそうに後ろから見つめ、だが何も口はださなかった。
 シュテルヴェーゼはゆっくりとその身を起こすと、自然体のままジェイクと対峙した。対してジェイクは剣の柄に手をかけ、今にも抜かんばかりの構えである。
 二人の間の空気がぴんと張り詰め前に、シュテルヴェーゼが口を開いた。

「童よ、一つ教えておこう。かつてお前の横にいるミリアザールも、お前と同じ目標を口にした。この大陸で最強の存在になりたいとな。だがそれは叶わなかった。千年を生き、数々の試練と苦境を乗り越えた彼女でさえな。理由がわかるか?」
「あんたがいるからだ」

 ジェイクは意識して答えたわけではない。だが明確に、その理由は分かっている。ミリアザールはジェイクの答えにはっとして顔を上げた。
 ジェイクはなおも続ける。まるで自分のものではないみたいに、その口が動くのだ。

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