ぐに始めないと怪しまれますし、タイミングはバッチリでしたよ」
ソラとラゼットは視線を合わせるとどちらからともなく片手を挙げてハイタッチを交わした。
おそらく、ミナンは盗み聞いた内容を元に教会と商会の関係を調べ、ソラの父に報告するだろう。そうなればソラの父は教会と険悪になるのを嫌がりウッドドーラ商会への処罰を見送る。スマートフォン カバー
「とりあえず、ウッドドーラ商会の取り潰しからくる混乱は回避できたと見ていいな」
「そうですね。ミナン先輩はそれなりに有能な方ですからすぐに報告書を王都の旦那様に送ると思います」
一仕事を終えてソラは魔法について書かれた布を木のナイフに巻き付けて片付ける。
「なんで切れもしない木のナイフに布を巻くんですか?」
「秘伝の巻物っぽくて格好いいから。ロマンだよ、ロマン。それより、本当はどうして慌てていたのか教えてくれ。浮浪児に何かあったのか?」
布巻ナイフをオモチャの奥に隠しながらソラは話を逸らした。途端にラゼットの表情が曇る。
「浮浪児達が薪を貯めていた場所を数人の男が襲撃しました」
第十話 発想の転換
「襲撃って、怪我人の数は!?」
すぐさま人の安否を気にするソラにラゼットは微笑んだ。
「大丈夫です。怪我人はでませんでした。大人の男が集団でくれば浮浪児達は何よりも先に逃げますから」
ラゼットの報告を聞き、ソラは安堵の息をつく。そして敵意を含んだ視線で窓の外に見える白い建物を睨みつける。
「教会の奴らか」
「まず間違いありません。浮浪児が貯めていた薪が残らず強奪されたようです」
張り込んでいる間に強奪された薪が怪しまれないように数回に分けて教会へ運び込まれるのラゼットは目撃した。その事実を持って黒幕が教会だと判断できる。
ソラもラゼットの推理に異存はない。
──しかし何故、襲撃したんだ。小枝に利用価値はないのに……。
窓際に頬杖をついて思考を巡らせる。ソラの細い眉が徐々に寄っていった。
「利用価値がないなら、利用しなければいいのか……?」
不意の発想にソラは当たりを予感する。
利用価値のない小枝を強奪したのは利用しないため。
いや、“利用させないため”だとしたら、教会は何を企んでいるのか。
ソラはしばらく教会の金飾りを眺めていた。傾きかけた太陽の光を浴びて輝かしい夕焼け色を周囲にばらまく杖をくわえた鳥の姿は美しい。
「……マズいな」
ようやく開いたソラの口から発せられた言葉はよくない未来を想像した物だった。
一緒になって考えている内に夢の世界に船をこぎ始め、転覆寸前だったラゼットの意識はソラの言葉で浮上した。
「何か分かったんですか?」
「あぁ、正直ハズレていて欲しいけどな」4s カバー
額に手を当てて面を伏せたソラは苦々しい思いで言葉を繋ぐ。
「前回の宝くじ騒動で俺が儲けた方法は理解してるな?」
「先物取引、でしたっけ?」
元々は漁村の出であまり商売に詳しくないラゼットは心持ち不安そうに答えた。
ソラの険しかった顔がほんの少しゆるむ。
「そうだ。在庫を一度に確保して市場に流す量を減らし値をつり上げる。そして差額で儲けたんだ」
「改めて聞くとエグい手ですね」
素直な感想に「俺もそう思う」とソラは苦笑する。
しかし、すぐに一転して厳しい表情を作った。
「だが上には上がいるらしい。エグいというより非道な手を使う輩がいるようだ」
「それはやっぱり──」
「あぁ、ウッドドーラの商会長、ツェンドだ」
そこまで言うとソラは自ら木のコップに水を注ぎ、飲み干した。
考えをま
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