その昔、ゼウス率いるオリンポス神族との戦いに敗れ、永遠に天を支える宿命を背負わされた巨人族のアトラス。

その髭に雲が下がり、脚には苔が生え、指の間から森林が広がるほど永い時を天を支えて過ごした彼はある時、見るものすべてを石に変える怪物メドゥーサの首を携えて通りかかった英雄ペルセウスに頼みました。

「このまま永遠に天をかついでいるのは耐えられない。私を石にしてほしい」

メドゥーサの魔力で彼が望みどおり石となった場所。それがアフリカ西北部にあるアトラス山脈といわれ、そこから見える大西洋を英語で「アトランティック・オーシャン(アトラスの海)」と呼ぶようになりました。石になったアトラスは、やがて天に上げられて星座となりましたが、今も天の極で、その重みを支えるかのように強く輝いています。